体操男子で五輪2大会連続個人総合金メダリストの内村航平(30=リンガーハット)が「不確かな自信」で窮地を生き抜く。

個人総合で争う全日本選手権開幕を翌日に控えた25日、会場となる群馬・高崎アリーナで会見に臨み、万全からは遠い状況で臨むことを明かした。両肩痛を抱え、昨年まで10連覇を重ねた日本一決定戦で王座奪還を狙うにあたり、「不確かな自信を持ってやることもいまはすごく大事。人ができていない経験もシチュエーションもあった。自分にしかできていないことも経験している。自分にしかできないこともしてきた。いまここで活用したい」と静かな口調で決意を込めた。

昨秋の世界選手権は大会直前の故障で個人総合の出場さえかなわなかった。種目別に絞った反動で、帰国後から左肩痛に悩まされ、今年2月にも再発。かばった影響か、右肩にまで派生し、調整に制約を余儀なくされた。演技構成では難度を落とし、「その痛みを引きずりながら今大会を迎えている状況で、最低限の準備はしてきて、なんとか試合はできるかな。体の動きはそこまで悪くなくて、集中していけば構成もそこまで難しくしていないので、ミスなく集中してやりたい」と会場での練習でも確認はできた。

数々の偉業を成し遂げ、体操界では「キング」として尊敬を集める。従来は「確かな自信」で戦ってきたという。「いままでは練習からすごく自信を持って、できていたんですけど、それは言ったら『確かな自信』と勝手に名付けているんです」と説いた。それが今回はない。だからこそ「不確かな自信」、これまでも逆境に打ち勝ってきた経験値にこそ、活路を見いだしたい。

大会は26日に予選、28日に決勝が行われる。