2020年東京オリンピック(五輪)・パラリンピック大会組織委員会は5日、五輪チケット販売の1次抽選で1枚も当選しなかった落選者の救済策として「セカンドチャンス」と呼ぶ抽選に、数十万枚を売り出すと発表した。8月に実施する。1次抽選で当選者による購入手続きが完了した枚数は、約322万枚で当選者の9割以上が購入した。

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1次抽選の現金購入手続きを前日4日に締め切り、五輪チケット販売の実態が少しずつ見えてきた。約750万人のID登録者数に対し、購入されたのは322万枚。倍率が高かったのは過去大会と同じく水泳、体操、陸上の決勝。加えて野球など日本で人気の競技、日本が国際大会で活躍している競技という。

組織委によると一般的な音楽、スポーツイベントでチケット抽選が行われた場合、2~3割のキャンセルが発生するというが、今回は1割未満と少なかった。

「セカンドチャンス」と呼ぶ救済抽選に出されるのは数十万枚。鈴木秀紀チケッティング部長は「外れた人が全員申し込むと、全員当たるわけではない」と、過度な期待感が膨らまないよう呼びかけた。

1次と救済抽選で開放する枚数について「400万枚ほどか」と聞かれた鈴木部長は「322万枚プラス数十万枚ということで、ご理解いただきたい」と明言しなかったものの、1次抽選で売り出された規模感は判明した。

組織委はチケット総数を招致段階の立候補ファイルの数字を用いて780万枚と説明している。実際には増減する可能性はある。しかし、総数全てを一般販売するわけではない。

関係者(国際オリンピック委員会、国際・国内競技団体、スポンサー、権利保有メディアなど)が優先的に買えるチケットは20~30%を占める。

「学校連携観戦チケット」として小中高生向けに五輪・パラリンピック合わせて準備する約100万枚、富裕層を狙いで今後販売される飲食や土産を伴う高価格帯チケットも、総チケット枚数に含まれる。

8月の救済抽選、今秋の2次抽選、20年春の店頭販売と、購入機会は複数回残されているが、入手困難なプラチナチケットであることは間違いない。【三須一紀】

◆セカンドチャンス 参加できるのは1次抽選で申し込み、落選した人に限る。1次で当選しながらも購入を見送った人は参加できない。申し込めるのは1競技の1枠のみ。売り出されるチケットは1次で売れ残ったもので、倍率が1倍に満たなかった試合。例えば座席が数万席単位というサッカーなどの球技の予選や予選ラウンドが多い陸上などが見込まれている。人気があった開閉会式やメダル決定戦は販売しない見込み。