【光州(韓国)=益田一弘】日本初のAS男子メダリストが誕生した。

混合デュエットTR決勝で、足立夢実(30=楓心舘ク)安部篤史(36=よみうりランド)組が自己ベストの88・5113点で3位。「元祖シンクロ男子」が15年5月の日本選手権でのデビューから4年2カ月をへて、銅メダル。国際水連は混合種目の24年パリ五輪採用を要望。さらに将来は新種目「混合チーム」の導入も検討。安部が切り開いた日本男子の未来は今後、大きく広がる。

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トイレで着替えたあの日から1534日。安部が日本初のメダリストになった。足立と涙を流した。銅メダルを首にかけて「とても重たいですね」。高いリフトを武器に表彰台。指導する花牟礼コーチは「男子のシンクロは恥ずかしいことじゃない。子どもたちが、格好いいな、やってみたいなと思ってくれるとうれしい」と涙をふいた。

混合は15年大会から採用。安部は15年5月3日の日本選手権で「男子禁制」の扉を開いた。女子約230人に対して男子1人、更衣室はトイレだった。世界選手権の最高順位は15年が5位、17年が4位。引退も頭をよぎったが「目標は表彰台しかない」と現役続行。孤軍奮闘するうちに次世代も育った。日本水連は8月の世界ユースに14歳の佐藤陽太郎を派遣。佐藤はAS歴10年というホープだ。

国際水連は、24年パリ五輪での混合種目採用を国際オリンピック委員会に要望。同委員会の「男女の均等」という流れにも沿う。さらにこの日、国際水連が混合デュエットだけでなく、男女8人で構成する新種目「混合チーム」を検討していることも判明した。安部は「混合は間違いなく五輪種目に入ってくる。その前に世界選手権で日本がメダルをとったという実績は後輩たちにも生かされる。このメダルは大きな1歩になる」と胸を張った。

○…足立は6度目の世界選手権で初メダルを獲得した。12年ロンドン五輪にも出場した女子代表では3度出場もメダルなし。14年に一時引退したが、安部とのペアで復帰。三度目の正直で銅メダルをつかんだ。「ずっとやっていたシンクロとミックスは違った。メリットもデメリットもあったが、すべてメダルをとったことで良かった、達成感になったと思う」と喜んだ。