東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は17日、新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期となった五輪の新たな競技スケジュールを発表した。組織委の森喜朗会長(83)と武藤敏郎事務総長(77)が、同日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で報告。延期後の第1目標だった今夏との同一会場、同一日程の維持が正式に決まった。

この結果、既に販売済みの観戦チケットについて組織委は、希望者に対して払い戻しに応じる方針をあらためて固め、その開始時期について武藤事務総長が「秋以降の方針」と初めて明らかにした。

史上最多33競技339種目が、今夏の計画から来年7月23日~8月8日に1日ずつ前倒しされた中、その1日スライド作業は競技時間や実施順の微調整にとどまった。大枠で同じ会場、日程となったことで、チケット購入者は21年の新たなスケジュールを見て、観戦可能かどうか確定判断できるようになった。

大会延期が決まった直後の3月30日、組織委理事会が終わった段階で既に権利が守られる方針は示されていたが、今回の決定を受けて組織委が、観戦が困難になった人への払い戻しを始める具体的な時期を「今秋以降」と明示した。

なぜ秋になるのか、IOC総会後の会見で質問された武藤事務総長は、こう説明した。

「観戦チケットは、会場と競技日程が今年と同じようになりましたので基本的に来年も有効です。ただ、何らかの都合で来年、会場に行かれない方がいた場合には、希望があれば払い戻します。秋になるタイミングの理由でございますけれども(昨年のチケット販売を)インターネットシステムで行っておりますので、払い戻しも、そういうシステムを作らなければいけません。そのシステムを構築中で、完成する見込みが秋になるということです」

公式サイトを通じて抽選販売された五輪のチケットは約448万枚。延期後も原則的に有効であることがあらためて示されたが、組織委では、来場できなくなったチケットホルダーに配慮すべく、継続的な情報提供の準備と、払い戻しシステムの構築へ詳細を詰めていく。【木下淳】