柔道の18年世界選手権女子78キロ超級金メダルで、今春に独協医大医学部に入学した朝比奈沙羅(23)が25日、白衣姿を初披露した。

今月中旬から大学での実習が始まったため、インターネットで男性用の6Lサイズを購入。栃木県宇都宮市で取材に応じた朝比奈は「柔道着と同じように白衣を着ると身が引き締まる。改めて医学生になったと実感した」と、夢への喜びをかみしめた。

入学時には“闘う医学生”をスローガンに掲げたが、柔道との両立は想像以上で、東海大時代に比べて「疲れ方の変化」が異なるという。栃木県での新生活も3カ月が過ぎ、「大学の課題も多く、準備しないと授業に置いていかれる。復習もしないといけないし、毎日がてんやわんや。トレーニング日に気力がない時もある。ただ、自分が選んで進んだ道だし、一切後悔はない。毎日が充実している」と前を向く。平日は午前9時~午後4時まで授業、午後7時~10時までトレーニングに励む。土・日曜日は、県内一の進学校の宇都宮高や国学院栃木高などで男子学生と稽古したり、スポーツジムで水中バイクなどの有酸素運動を行う。

来夏に延期された東京五輪では、19年世界女王で五輪代表の素根輝(そね・あきら、20=環太平洋大)の補欠に回ることが有力だが、気持ちだけは絶対に切らさない。「1%でも可能性がある限り、日本代表として試合に出ても恥ずかしくないように準備する」。五輪後の21年12月のグランドスラム・東京大会で現役引退する意向を示している。

「柔道も大学も、今は全てが運命と受け止めている。ただ、勉強するには、スポーツは息抜きであり必要不可欠な存在。柔道が一区切りしたら、アメフット部への入部も考えている」。漢気(おとこぎ)をモットーとする23歳の挑戦は、まだ始まったばかりなのかもしれない。【峯岸佑樹】