特別な冬の最激戦区を勝ち抜いた! 報徳学園(兵庫2位)が15-7で天理(奈良2位)を下し、第100回を記念して設けられた近畿ブロック最後の1枠をつかんだ。SH村田大和、SO伊藤利江人の1年生ハーフ団が躍動。関西学院に敗れた兵庫県予選決勝(7日)から、“復活”での花園切符をつかんだ。5大会連続46度目の全国高校大会(12月27日開幕予定、花園)で、過去最高の4強超えを目指す。

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残り5分。肩で息をする報徳学園の15人が「花園行こうや!」と仲間を励まし合った。前半12分にプロップ西崎海人(3年)のトライで先制し、後半10分まで12-0。だが、相手の反撃で一時は5点差に迫られた。花園優勝6度を誇る天理の圧力を感じながら、60分間貫いたのは激しいタックル。ノーサイドで抱き合う教え子を見つめ、西條裕朗監督(57)は「(県予選決勝の)敗戦からよく立ち直った」とねぎらった。

準決勝の京都工学院(旧伏見工)戦で先発したSH村田に加え、大一番のSOに同じ1年の伊藤利が起用された。2人は前日の練習後、ジュースを飲みながら語り合った。「気負ったら負け。俺らで前に出ようぜ」。村田は上級生を鼓舞し、球をさばき続けた。強力BKを生かした伊藤利の父は元日本代表で、SOとして大工大高(現常翔学園)から明大、サントリーへと進んだ宏明さん(45)。父がヘッドコーチを務める明大入りを目指し、成長を求めて東京からやってきた。西條監督は「怖いもの知らずの爆発力」。西崎からは「今日の勝利は1年生のおかげ」と貢献を評された。

予選で1度散り、必死の思いで聖地に行き着いた。伊藤利は「チームを前に進め、勝利につながるプレーをする」と誓った。失うものは何もない。【松本航】