今季からフィギュアスケートのアイスダンスでカップルを結成した村元哉中(かな、27)、高橋大輔(34=ともに関大KFSC)組がいよいよ初めての競技会に臨む。グランプリ(GP)シリーズ最終戦のNHK杯(27日開幕、東和薬品ラクタブドーム)に向けて、26日は本番会場で公式練習。高橋は上半身がえんじ、下半身が黒。村元は薄いピンクの衣装に身を包み、練習開始から2人で視線を合わせて、念入りに滑りを確認していった。

アイスダンス選手としてクリス・リードさんと組み、18年平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)で15位と躍進した村元。経験豊富な実力者の新しいパートナーが男子シングルで元世界王者の高橋だ。きっかけは19年1月。高橋のアイスダンスへの興味を知った村元が、直接誘いの声をかけた。高橋は当時をこう振り返る。

「アイスダンスはよく見ていたので、いつか引退したら趣味ぐらいでやりたいとは思っていました。1月に哉中ちゃんからオファーをもらって『面白いかな』と思ったけれど、僕は哉中ちゃんの1ファンだったし、僕が初心者なので『もっとうまい選手とやった方がいいのに』とちゅうちょしました。7月に一緒に滑って、興味深く、もっと知りたいと思った。『僕でいいですか?』ということでやりました」

夏にトライアウトで滑り、話はとんとん拍子に進んだ。高橋は村元にとっても憧れの存在だった。

「昔から憧れのスケーター。音楽のとらえ方、動きが誰にもない。個性があって好きでした。大ちゃんの世界を、一緒にダンスで体験したいと思いました」

19年12月の全日本選手権(東京)で高橋はシングル選手として、競技会最後の演技を終えた。年明けから本格的に始動し、拠点となる米フロリダで練習を積んできた。新型コロナウイルスの影響を受けながらも準備を進め、この日、大阪のリンクに立った。

27日のリズムダンス(RD)では「マスク」、28日のフリーダンス(FD)では「ラ・バヤデール」を演じる。今大会には全日本選手権2連覇中の小松原美里(28)、ティム・コレト(29=ともに倉敷FSC)組、今年2月の4大陸選手権に出場した深瀬理香子(23=大東大)、張睿中(23=カナダ)組も出場。日本の3カップルが競演する。【松本航】