今季限りでの現役引退を表明している新田谷凜(24=中京大)が、難しい心の状態を明かした。

演技後半の3回転ルッツで転倒し、52・46点の11位発進。ユニバーシアード(12月、スイス)に出場する竹野比奈(SP14位、福岡大)を除いた上位11人が、全日本選手権(12月22~26日、さいたまスーパーアリーナ)の切符をつかむ。当落線上の新田谷は「ここ1カ月ぐらい、スケート人生で一番調子上がらなかった」と明かし、途中で涙を流しながら思いを口にした。

「『引退するのがもったいないね、って言ってもらえる状態で引退したい』っていうのが、今シーズンの目標です。練習では(ジャンプが)1回転とかになってしまう。それでもやっぱり、いい状態で引退したい気持ちは強い。気持ちと体がかみ合っていないです」

支えである家族に「今が限界かも」と相談すると、兄の助言が胸に響いた。

「お兄ちゃんが『もちろん惜しまれながら引退したいと誰もが思うから大事だけれど、凜が変に攻めたりしなくても、十分難しいジャンプを跳んでいたのも、頑張っていたのも分かると思う。きれいに引退することを考えてもいいんじゃない』と言ってくれました」

運命のフリーは6日。

「構成を落としてでも、楽しむことを優先的に考えたいです。全日本に向けてはできる限り構成も戻してやりたいと思っています」

悔いなく、楽しんだ演技で、最後となる大舞台の出場権を目指す。【松本航】