世界ランキング96位の西岡良仁(26=ミキハウス)が金星で自身3度目のツアー決勝進出を決めた。

全仏8強で、同8位のアンドレイ・ルブレフ(24)に6-3、6-4のストレート勝ち。決勝では自身ツアー2度目の優勝をかけて、ウィンブルドン準優勝で同63位のキリオス(27)と対戦する。日本男子がシングルスでツアー決勝に進むのは、西岡自身が20年2月のデルレービーチオープンで準優勝して以来約2年半ぶり。

   ◇   ◇   ◇

完全に西岡がトップ10の強豪をわなにはめた。持ち味の緩急を生かしたプレーで、相手から33本の凡ミスを引き出した。2度目のマッチポイント。その33本目の凡ミスで勝利が決まると、西岡は何度も歓声に手を上げ応えた。「このレベルでの初めての決勝。うれしい」。今大会はマスターズに次ぐレベルだ。

順回転が利いた山なりの球で押し込み、徐々に追い詰めていく“あり地獄テニス”。身長170センチと、一発で決めるパワーがない分、集中力と展開力が持ち味だ。「相手のミスを誘いつつ、自分からは積極的に」というプレーで、今季ツアー3勝、全仏8強の強豪を完全に手玉に取った。

20年2月に自身最高の48位に上昇した直後だった。新型コロナの感染拡大でツアーは半年ほど中断。再開されても隔離、検査が日常で、転戦が苦痛となった。今年の全豪1回戦で敗れ、「楽しくない。結果が出ないなら、残り2年で引退。気持ちが持たない」。精神的にも追い込まれた。

7月中旬のツアー下部大会後、予定を変更して帰国。今大会も「本戦に入らなければ来る予定ではなかった」。しかし、本戦入りが決まり「気負わずに頑張っている。気楽にプレーできている」ことが、「勝たなくちゃいけないと感じることもなく」と、逆にいい方向に働いているようだ。

日本男子がシングルスでツアー決勝に進むのは、約2年半ぶり。また、トップ10からの金星は、21年東京オリンピック1回戦で、錦織圭がやはり7位のルブレフに勝って以来1年ぶりとなる。

【関連記事】テニスニュース一覧>>