来夏のパリ五輪予選として開催されるW杯バレーが、いよいよ迫ってきた。女子は16日、男子は30日に、ともに東京・代々木第1体育館で幕を開ける。先陣を切る女子日本代表(世界ランキング8位)の初戦の相手はチリ。92年バルセロナ五輪以来となる大会1年前の出場権獲得を目指すチームのキーマンを「火の鳥の羽」(全6回)と題して紹介する。

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ミドルブロッカー(MB)宮部藍梨(25=姫路)は、技術面の成長に手応えを感じている。ネーションズリーグ(VNL)では勝負どころで起用され、準々決勝米国戦ではスタメン出場。敗れはしたが「ブロックの決定数が多かった。練習から最短距離で相手のコートに手を出すことを意識してきた」と、要所で5本のブロックを決めた充実感を口にする。

本来はアウトサイドヒッター(OH)だが、高いジャンプ力を買われ、6年ぶりに代表入りした昨年からMBに挑戦。OHより攻撃の回数は少ないが、より一打の精度が求められる。クイックもあり、トスのテンポも違う。初めは戸惑うこともあったが、今目指すのは、自分なりのミドル像。「浮いたトスやピンポイントじゃないトスも手の届く範囲ならハードヒットできることが強み」。OHで培った持ち味を生かして、VNL米国戦ではブロック以外でも5得点を挙げた。

好きな言葉は「自分らしく」。大阪・金蘭会高2年時の15年に将来のエース候補として初めて代表入りも、卒業後はVリーグからの誘いを断り、海外留学を念頭に大学へ進学。17年からの約5年間を米国で過ごした。学業と両立させながらのプレーは「自分よりも体格の大きい選手と試合することに慣れましたね」と、大きな自信をもたらした。

「良くも悪くもあんまり他人に興味がない。みんながやってるから自分も…みたいなことはない」と自己分析。幼い頃からのそんな性格が、大舞台でも動じないメンタルの源流になっている。自在不羈(ふき)で、大一番も駆け抜ける。【勝部晃多】

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