【17日パリ=高田文太】フィギュアスケートの世界女王、浅田真央(18=中京大中京高)が、今季から師事するロシア人コーチに「真央流」を直訴する。今季初戦のGPフランス杯で2位に終わった浅田はモスクワでの緊急合宿のためロシアへ移動。昨季と異なる調整法が不調の要因の1つとみる浅田は、短時間集中型の練習を取り入れるタチアナ・タラソワ・コーチ(61)に「自分が『こうやりたい』とかの希望を、これからは言っていきたい」。練習量を増やし、次戦のNHK杯(28日開幕、東京・代々木第1体育館)までに自信を取り戻すつもりだ。

 ミスが続いたジャンプの修正へ、浅田がタラソワ・コーチに「自己主張」する。16日のフランス杯エキシビションに出場後、浅田はNHK杯など今後の調整法についてこう話した。

 浅田

 短い時間で集中してやるのがロシアのやり方なのかもしれないけど、自分はもっと回数を跳んで、長く練習した方がいいと思う。今回はロシアのやり方でトライしてみようと思っていたけど、自分が『こうやりたい』とかの希望を、これからは言っていきたい。

 浅田は今季から荒川静香ら数々の世界王者を育てたタラソワ氏に師事した。これまで3度、それぞれ1週間程度のモスクワ合宿を行ったが、いずれも練習時間は1日2~4時間。「リンク上ではいつも100%出しなさい」と言われ、過度の練習による故障を避ける狙いもあり、短時間集中型の「ロシア式」の練習は日本でも続けていた。

 だが、昨季までは多いときは1日8時間の練習に取り組んでいた浅田には、物足りなさと同時に不安もついて回っていた。「3週間前からジャンプがおかしかった」と、異変を感じていたが「(タラソワ・コーチに)自然と気を使ってしまっていたのかも」と、十分な滑り込みができず、自信を取り戻せていなかった。結果、フランス杯ではミスを恐れて回転数不足となるなど得意のジャンプが乱れた。

 一方で表現力の向上に定評のあるタラソワ・コーチの指導を受け、今大会は女子では唯一、SP、フリーとも演技点の5項目すべてが7点台と高得点をマークするなど効果は出ている。だからこそ、練習方法や調整法の違いについて浅田なりに「自己主張」しながら、その差を埋めていく必要がある。

 「ロシアに行って自分の感覚を取り戻したい」。NHK杯での巻き返しへ、浅田は1週間程度の緊急合宿を前向きにとらえていた。