県岐阜商が3年ぶりに春の東海大会進出を決めた。昨年3月に就任した鍛治舎巧監督(67)にとっては初の東海大会だ。

秀岳館(熊本)で甲子園常連だった指揮官の「色」が存分に出た。相手の岐阜第一・高倉明健投手(3年)は県内屈指の右腕。1巡目はパーフェクトに封じられたが、2巡目に入った4回に次々と野手の間を抜き、単打5本で4点を奪った。

鍛治舎監督は「あの回だけでしたね。ワンチャンスを生かした。僕は何もしていない。いつも通りですよ。冬にずっとやってきたことが間違いじゃなかったということ」と好投手攻略にも冷静だった。

大事な試合の先発マウンドを託したのは1年生の野崎慎裕投手。きゃしゃな左腕は思いきりよくストライクを投げ込み、8回途中まで試合を作った。「大きな試合で普通は1年生だから硬くなるんだけど、よく踏ん張った。いい経験になったはず」とねぎらった。

実は最速147キロのエース松井大輔(3年)が大会中に左ひざを負傷、2番手格の森大河投手(2年)も右手指を負傷する緊急事態だった。2人とも夏には間に合わない見込みという。監督は「ずっと頑張ってきたのに本当に残念。かわいそう。でも野球人生はここで終わりじゃないので」と声を落とした。

4番には同じく入学したての広部嵩典内野手を抜てきした。広部は秀岳館で主将を任せていた広部就平内野手(現中部学院大2年)の弟で、兄弟とも自分がかつて監督を務めた枚方ボーイズ(大阪)の出身だ。この試合はベンチに計5人の1年生を入れていた。夏に向けた戦略は定まっておらず「目の前の試合で目いっぱい。その日暮らしです」と豪快に笑った。

昨秋の帽子の色とデザイン変更に続いて、ユニホームのアンダーシャツも鮮やかな青に変更した。伝統の紺色から大胆なイメージチェンジ。「停滞していたし、ちょっと暗く感じたので、前向きに明るいイメージにしようと思った。夏もこれでいきます」と説明した。質量とも豊富な練習を課した秀岳館とは違い、公立校のため制約も多い。「休みも多いし、時間も短い。やりたいことの半分もできない。効率よくやろうとしています」とベテラン監督も試行錯誤を続ける。

14年に秀岳館の監督になり、16年春から4季連続で甲子園に導き、うち3度でベスト4に進んだ。昨年3月に母校の監督に就任した。1年目の昨夏は県大会3回戦で敗退。昨秋は県の3位決定戦でこの日快勝した岐阜第一に1-8でコールド負けし、センバツへの道を断たれた。

県岐阜商は通算56度の甲子園出出場を誇る。この夏は7年ぶりの夏の甲子園を目指す。就任1年あまりでじりじりと力を蓄えてきた。「夏は厳しいですね。でも、勝っていく中で自信になる。選手は『ちょっとくらいは俺たちもできるのかな』と思い始めたんじゃないでしょうか」と、ほのかな自信も携え、初の東海大会に臨む。