抜群の選球眼で見極める。日本ハム近藤健介捕手(24)は、今季57試合出場で打率4割1分3厘。昨オフから「ビジョントレーニング」に取り組み、動体視力が向上。ボール球には手を出さず、四球を選び、打率アップにつながった。鍛え上げた「目力」という懐刀を忍ばせて、侍ジャパンの攻撃に勢いをもたらす。

 自信がある。近藤は自身の武器を問われて迷わず「選球眼ですね」と答えた。今季打率4割超えをキープし、OB張本勲氏(77)が持っていた46試合の球団最長記録を更新した。6月に腰の手術を受けて途中離脱したため規定打席に達せず、夢の4割打者誕生は幻となったが、ボールを見極めるうまさは、打席で目立っていた。

 両目視力1・5の「目」が光る。それは鍛え上げた成果だった。昨オフから「ビジョントレーニング」に取り組み始めた。「僕はチーム1、2を争うくらいキレていた。1、2と言っても中田さんか僕くらいなんですけど」と振り返るほど感情の起伏が激しい。もともとはメンタルを整えるために専門家に相談し、そこで紹介されたトレーニングの1つだった。

 目から入る情報で心は乱れ、打席でも影響する。毎日20分、トレーニングを欠かさずに行い、自然と精神的にも安定するようになった。「野球に関しては変わっている実感はないけど、結果は出てるのでいいのかな」。その結果、攻め方も変わった。「狙っていないボール球を強引に打ちにいかなくなった」。冷静さを手にし、四球を選ぶことで高打率を維持できた。

 意識を変えたのも大きく影響した。「『泳いでもいいや』くらいのイメージで」。ボールが投手から離れた瞬間にはバットを振れる形をつくれるようにした。練習はティーでもフリー打撃でも「出たら振る」。そうすることで「体のぶれがなくなり、より長くボールを見られるようになった。タイミングを取れるようになった」と分析している。

 シーズンをフルで戦えなかった悔しさをぶつける。シーズン終盤に復帰を間に合わせたものの、約3カ月半のブランクがあった。それだけに「今年はいい感じだったので、固めるのにいい」と、日の丸を背負っての実戦が楽しみでしょうがない。「国際大会の難しさもあるけど、勝って当たり前のプレッシャーを感じながら、自分のプレーができればいい」。各国投手、燃える近藤の「目」にご注意を。【保坂果那】