ロッテが無双状態だった日本ハム有原を攻略した。まず小技で乱した。初回、中前打で出塁した1番荻野貴司外野手(33)が二盗に成功。

鈴木が空振り三振に倒れると、ワンバウンドした球を捕手が一塁送球すると同時にスタートを切った。「気付いたら走っていた。本能で体が反応した」という匠(たくみ)の技で三塁を陥れ、犠飛で生還。1安打で1点をもぎ取った。

初球からセーフティーバントを試みるなど、試合前まで防御率0・51だった右腕を揺さぶる意識を徹底した。井口監督が「隙を突いた走塁が大きかった。こういう野球を続けていきたい」と目指す野球の体現だった。指揮官は有原のカット系のボールと左打者の相性が悪いことから、4番から右打者を6人並べて臨んでいた。その起用には岡大海外野手(27)が応えた。

5回に逆転の皮切りとなる1号ソロ。6回はブランドン・レアード内野手(31)が2日連続となるバックスクリーン右への11号ソロで続いた。1年前はともに日本ハムのユニホームを着ていた。有原とは、岡は明大時代から東京6大学リーグで対戦してきた旧知の仲。レアードは「ホームランを打ったらディナーに連れて行ってもらう」と約束していた。

元同僚だからこそ、思いを強くした。2人は古巣との対戦を前に話し込んだ。「お互い、やってやろうという気持ちが出た」とはレアードだ。すしネタならこの1発は「大トロ」と胸を張った。痛烈な“恩返し”だったが、岡のアーチにはビジターの左翼席からも拍手が起こった。「活躍して、いいバッティングを見せていきたい」と感謝した。

大技小技を絡め、ゴールデンウイークは白星締めの6勝3敗。借金は2まで減った。次の2連戦は5敗1分けと今季未勝利の西武が相手。千葉で弾みをつけ、ロードに乗り込む。【鎌田良美】