女子は学法石川(福島)が1時間12分3秒で総合2位に入り、3年連続3度目の都大路行きをつかんだ。全国大会(12月20日、京都)の京都開催50年を記念し、各県予選の優勝校をのぞいた最上位校に与えられる「東北枠」での出場。4位でたすきを受けた4区渡辺怜奈(1年)が最上位だった大曲(秋田)を抜き、5区根本実咲主将(2年)が区間2位の力走を見せた。男子は東北(宮城)が総合4位で4年連続27度目の全国出場を決定。優勝は女子が青森山田、男子は秋田工だった。

 もう、あんな思いはしたくない。4区渡辺は渡されたたすきをギュッと握りしめた。「東北枠」を争う大曲の走者とはわずか1秒差。走りだすと、ぴったり背後についた。区間の距離は3キロ。仕掛ける機会を探した。「行ける!」。相手のペースが遅れ始めたのを見逃さず、1・2キロ過ぎに一気に仕掛けた。「下りは得意なんです」とスピードの乗るコースを駆け抜け、3位で根本につないだ。

 雪辱の舞台だった。10月21日の県予選。トップを走っていた3区で、優勝した田村(福島)に抜き去られた。「抜かされたショックでリズムが狂って。大会後に、走れなくなっちゃったんです…」。自分のせいで、負けた。練習に身が入らなくなった。東北大会2週間前、松田和宏監督(41)からカミナリが落ちた。「気が入らないなら、使わない!」。目が覚めた。落ち込んで足を引っ張るならば、気持ちを切り替えて都大路をつかむ。スイッチが入った。

 5区を走る根本も同じだった。県予選では30秒ほどの差を一時は3秒近くまで縮めた。だが、力尽きて11秒差の完敗。1人だけでは勝てないと痛感した。9月下旬に東洋大・酒井俊幸監督が講演に訪れ、聞いた言葉を思い返した。「その1秒を削り出せ」。早朝練習の最後に400メートル走などを増やし、個の力を上げる努力をした。「1人1人が力を出し切れば負けない」と練習量を自信につなげた。

 松田監督は「4区がポイントだと思った。下りに力のある子を置こうと。最後は根本の持久力で勝ちきった」と選手をほめた。県予選で優勝した男子とともにアベック出場。1、2年生だけの若いチームが、悔しさを力に変えて、歓喜をつかんだ。【島根純】