悪夢から気持ちを切り替えて、サニブラウン・ハキーム(18=東京陸協)は200メートル決勝に駒を進めた。5日(日本時間6日)の100メートル準決勝では、スタート直後の4歩目でバランスを崩して失敗した。昨年6月には左大腿(だいたい)部を肉離れし、リオデジャネイロ五輪の出場を逃した。失敗や故障を糧に大舞台で躍動した。

 サニブラウンは競技場から宿泊先のホテル行きのバスに向かって歩きながら、ぽつりと言った。

 「引きずったってしょうがないじゃないですか」

 5日の100メートル準決勝。スタートから4歩目でつまずいた。バランスを崩して、スピードに乗れず、7着で敗退した。実力を出し切れば十分に決勝に進めるはずだったが、大きなチャンスを逃した。レース直後には「盛大にやらかしましたね」と笑い飛ばしたが、さすがに落ち込んだ。

 だが、この日は「悪夢」から切り替わっていた。失敗をうまく修正し、スタートからかみ合い、ぐんぐん伸びた。1度失敗するとなかなか立て直せない傾向にあった日本人にはない、修正力の高さを発揮した。