8月29~30日に、大阪市の丸善インテック大阪プールで飛び込みの関西選手権が行われた。

まだまだ新型コロナウイルスの感染者数が増え続けている中での試合だったため、かなりの衛生管理と厳重な警戒態勢で行われた。

毎年行われている関西選手権は、日本選手権の出場権を獲得するための選考会の1つでもあり、いつもなら各種目に何十人もの出場者がいる。

それが今年はどの種目も10人前後。

コロナ禍で軒並み試合が中止されている中では希望の試合となったが、やはり活気は少なかった。


それでもやっと出来た選手たちの活躍の場。

現地へ行くことは出来なかったが、関西選手権では初の試みであるYouTubeでの生配信で私も選手たちの演技を見ていた。


そして今回の試合でも目を引いたのは、やはり玉井陸斗だった。

新型コロナウイルスの影響で、プールや練習場が閉鎖され限られた環境での練習だったとは思うが、今大会でもキレのある動きで高難度の技をしっかりと決め、会場を湧かせていた。

3メートル板飛び込みと高飛び込みの2種目優勝という最高の結果だった。

解説者から「練習ではあまり決まっていなかったが試合では決めてきた」という情報が流れてきた。

飛び込み競技では、試合前の練習でいくら失敗している技でも、試合での一本が決まれば勝てることもある。

それもまた本人の実力であり、飛び込み競技の面白さのひとつだ。

世界レベルの試合でも、練習ではそれほど決まっているように見えない選手が、試合になると確実に決め、高得点をたたき出す勝負強い選手は何人も見てきた。

運も実力のうちというが、13歳の玉井陸斗は「努力の出来る天才」にプラスして「勝負強さ」もあるのかと思うと、この先の活躍が楽しみで仕方がない。

どれだけ練習を積んでも、試合での緊張は試合でしか味わえない。その中での自分の動きをコントロールする力も必要な感覚だ。

そして、選手にとっても指導者にとっても、小規模でも試合がある事は目標設定がしやすくなり、今後の課題などを見つけるためにもとても重要な役割をもっている。

大変な時期ではあるが、少しでも早く選手たちが安心して競技に打ち込める環境が整うことを願っている。

(中川真依=北京、ロンドン五輪飛び込み代表)