<全国高校総体:サッカー>◇男子決勝◇8日◇山梨・中銀スタジアム

 サッカー男子の決勝が山梨・中銀スタジアムで行われ、東福岡(福岡)が17年ぶり2度目の優勝を果たした。大津(熊本)との九州対決。延長にもつれ込んだ試合は1-1で迎えた延長前半4分、DF末永巧(3年)が勝ち越しのロングシュートを決めた。その後も2点を追加と底力を見せつけた。

 最後の最後まで走り続けて、つかんだ優勝だった。MF赤木翼、増山朝陽(ともに3年)ら攻撃陣は延長に入ってもスピードが衰えない。逆に足が止まった大津の守備を突破する。「走り負けることはないと思っていた」と増山は複数のマークに遭っても打開した。終了間際には右足のふくらはぎをつりながら走り込んでダメ押しの4点目のゴールを決めた。

 トレーニングでは300メートルを40秒間で走るインターバル走を20本近くこなした。「(選手は)90分を苦しいとは感じていない」と森重潤也監督(48)。延長で畳み掛けた3点は日ごろのハードワークがもたらした。

 延長前半4分、末永がセンターサークル付近から右足を振り抜く。前に出ていた相手GKの頭上を越え、そのままゴールに吸い込まれる。「トラップした時にキーパーが出ているのが見えた。イメージ通り」。疲労がたまるはずの延長でもあくまで冷静だった。

 苦しい展開だった。前半24分に先制を許す。今大会で初めてリードを許し、得意の先行逃げ切りのパターンが崩れた。パスの呼吸が合わず簡単にカットを許すなど攻撃に焦りも見えた。しかし「最後までチャンスはあるから、信じようと声を掛けた。みんな諦めずにやってくれた」とMF中島賢星主将(3年)。攻め続けた後半28分、赤木のゴールで追いついた。「キーパーが前に出ていたので、触らなくても入るクロスを上げた」と赤木。値千金の同点ゴールにチームは息を吹き返した。

 総力戦でつかんだ栄光にも「厳しい試合で結果を出せたことは収穫だが、まだ決められる場面はあった。選手権に向けてもう1度トレーニングしたい」と森重監督。冬には、さらなる輝きを放ちそうだ。【岡崎悠利】