フィギュアスケート男子の羽生結弦(23=ANA)が14日、右足関節外側靱帯(じんたい)損傷の影響で練習再開のめどが立っていないことを発表した。2日連続で日本スケート連盟を通じて談話を出し、右足首の腱(けん)と骨にも炎症があり回復が遅れていることを明かした。五輪代表選出は確実だが、最終選考会である全日本選手権(21日開幕、東京・武蔵野の森総合スポーツプラザ)への出場は厳しい状況。ぶっつけ本番で平昌(ピョンチャン)五輪に臨むのか、それとも別の道を探るのか。五輪連覇へ向け、強化プランの再考を迫られている。

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 羽生選手の回復が遅れていると聞き、やはりそうだったか、と思った。負傷したのはNHK杯の公式練習の最中。選手なら経験があると思うが、試合期間の練習は普段と違い、自然と力が入ってしまう。しかもケガは4回転ジャンプを着氷した時だったため、足に相当の負荷がかかっていただろう。3回転ジャンプの着氷時には、体重の約5、6倍の負荷がかかるという研究データがある。300キロ超の重いものを背負いながら足をくじいたとイメージしてほしい。

 今、無理をする必要はない。彼は五輪のディフェンディングチャンピオンであり、昨季の世界王者。その実績はくみ取ってあげるべきだと思う。五輪に行かせてあげるだけでなく、五輪で勝たせてあげるために、周りがいかに環境を整えられるかが大事だ。例えば、ルールにはないため難しいだろうが、現時点で、日本連盟が五輪の内定を出すこともありだと個人的には思う。

 10月末のロシア杯から時間がたち、試合勘は、少しずつ薄れていっているだろう。あくまで僕が考えるプランだが、もし、全日本選手権に出場するなら、五輪の団体戦を経て、個人戦に出る、という流れでいいと思う。もし、全日本に出なかった場合は、五輪団体戦に出ない手もある。日本としては羽生選手に団体戦に出てほしいという気持ちもあるだろうが、1月末の4大陸選手権で復帰し、後は個人戦に集中するという形もある。(10年バンクーバー五輪代表、11年世界選手権銀メダリスト)