「重量級のホープ」が魅了した。男子は東京・国士舘が決勝で奈良・天理を下し、3年ぶり9度目の優勝を果たした。5人制の勝ち抜き戦で、84年ロサンゼルス、88年ソウル両五輪金メダルの故斉藤仁さんの次男で、大将の立(たつる、1年)が2人連続の一本勝ちで優勝を決めた。

 相手副将の中野(2年)には父に伝授された体落とし、大将の植岡(2年)には内股で畳にたたきつけた。190センチ、155キロ、足のサイズは34センチの大器が躍動感ある柔道で観客を魅了。斉藤は「なんだかスカッとした。今年は負けなしが目標。お父さんにはこれぐらいだと『まだまだだぞ』と言われる」と高校総体、金鷲旗への3冠に向けて前を向いた。

 体格では小5で父を超え、いまだ成長途中。パワーでは大学生や社会人にも引けを取らない。多彩な足技に磨きをかけ、可能性は無限だ。「体も技もまだまだ。しっかりと鍛えて、勝てる技を身に付けたい」と、がむしゃらに稽古に励む。15年1月に仁さんが死去後、柔道に対する考え方が変わり「お父さんの偉大さが分かった」という。20年東京五輪も視野に入れ「金メダルを取って両親へ恩返ししたい。体だけでなく、結果でもお父さんを超えたい」と大きな夢を語った。

 全日本柔道連盟の山下泰裕会長は「今まで見てきた重量級選手で可能性は最高」。同連盟の金野潤強化委員長も「父親譲りで体が強くて柔らかい。将来の日本のエース」などと絶賛した。

 女子は52キロ級のホープ阿部詩が欠場する中、兵庫・夙川学院が2連覇した。