世界4位の大坂なおみ(21=日清食品)が、同6位のペトラ・クビトバ(チェコ)を7-6、5-7、6-4で制し、男女を通じて日本人初の全豪シングルス女王の快挙を達成した。28日発表予定の最新世界ランキングで、アジア初のシングルス世界1位も確定した。

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18年の全米優勝で話題になった大坂の「おばちゃんストリングス」が、この半年で格段に進歩した。その優勝時に使用したストリングス(ラケットに張ってある球と接触する糸)は、縦糸がポリエステル素材、横糸がナイロン素材。ナイロンは最も格安で、学生選手でもほとんど使用しないアマチュア愛好家なみのストリングスだった。

しかし、19年シーズンを控えたオフに、バイン・コーチの勧めもあって、プロ選手必携の天然素材ナチュラルを導入。「何度もテストして、合った素材と組み合わせを試した」(関係者)。その結果、横糸をナイロンからナチュラルに替えた。縦糸のポリエステルも素材を変更し、完全なプロ使用となった。

錦織圭のストリングスを長年張ってきた細谷理氏によると、「ナチュラルは球の食い付き、飛びともに、最高のもの」と話す。錦織は、現在、縦糸がナチュラルで横糸がポリエステルと、大坂とは逆の組み合わせ。それは、あまり力をかけなくても、球を飛ばすことができるためだ。

縦糸は、横糸より長いため、球の回転や飛びに、より影響を及ぼす。大坂が短い横糸をナチュラルにしているのは「パワーヒッターで、縦糸をナチュラルにすると球が飛びすぎるため」(細谷氏)。そのプロ仕様のストリングスで、世界女王の座をつかみ取った。