【光州=益田一弘】世界記録保持者の渡辺一平(22=トヨタ自動車)が「ワールドレコード決着」の決勝に挑む。

予選は2分9秒68で全体9位、準決勝は2分8秒04で同6位で通過した。準決勝ではウィルソン(オーストラリア)が渡辺の世界記録と同じ2分6秒67をマーク。前回大会金メダルの宿敵チュプコフ(ロシア)との三つどもえの決戦になる。新記録必至の史上最高レベルの決勝を勝ち抜く。

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舞台は整った。渡辺は「ウィルソン選手が世界記録(タイ)を出してくれて、すがすがしい気持ち。決勝はチャレンジャーで臨める。手ごわいライバル2人に自分が強いと見せつけたい」と宣言した。

17日の韓国入りから中7日。今大会初レースを迎えた。予選は泳ぎの感覚を確かめながら全体9位。準決勝はタイムを上げたが、同組のウィルソンが世界タイ記録、1組のチュプコフも2分6秒83と好タイムだった。優勝タイムが世界記録を超えるムードがぷんぷんと漂っている。

「日本水泳界のヒーロー」。渡辺は10日、都内で行われた壮行会で色紙に書いた。「僕自身が世界記録をもっているし、自分がしないといけないのは金メダルをとって東京五輪を内定させること。仲間であった池江が今回代表に入れていない。日本水泳界を盛り上げられる存在になりたい」。必要なものは勝利だ。

出番を待つ間、意欲も高まった。男子100メートル平泳ぎでピーティ(英国)が、同200メートルバタフライでミラク(ハンガリー)が世界記録を大幅に更新した。渡辺は「突出したタイム。異次元の存在になれるようにしたい」と強い決意を口にした。大会前から目標の「2分5秒台」を出せば、衝撃的なタイムといえる。

「準決勝で(世界タイ記録を)出したウィルソンが最速。めちゃくちゃ手ごわい相手と感じる。チュプコフも含めて、3人で誰が世界で1番速いか、1番強いか、決める。試合を楽しみたい」。同期である松元の銀メダルに刺激を受けて、全力で勝ちにいく。