【ヌルスルタン(カザフスタン)=阿部健吾】レスリングの世界選手権(カザフスタン)は18日に第5日を迎え、女子57キロ級に注目の川井梨紗子(24=ジャパンビバレッジ)が登場する。

準決勝まで行われ、決勝進出(19日)を決めた時点で2大会連続となる東京オリンピック(五輪)代表に内定する。

川井は国内の代表争いで伊調馨との濃密な半年間の争いを経験し、出場権を勝ち取った。昨年末の全日本選手権では復帰してきた伊調に敗れ、6月の全日本選抜で勝ち、プレーオフへ。日本中の耳目を集めた決戦で勝ち抜いた。過度な緊張感からの心の解放を聞かれると「12月から6月までの期間が一番苦しかったんですけど、ここで勝たないと意味がない。プレーオフが終わったら今度は世界選手権勝たないとと。大きくは変わってないです。五輪に出るために戦ってきて、世界選手権で勝てないと意味がない」とあえて気持ちは切らさずに突っ走ってきた。

昨年までは59キロ級で戦ったため、57キロ級は世界選手権では初参戦でノーシード。組み合わせ次第ではいきなり初戦で世界王者の栄寧寧(中国)と激突の可能性もあったが、当たるとしても決勝になった。リオ五輪前に63キロ級に階級変更した際も「ぶっつけ本番」は経験しており、「階級も私の状況的にも違うけど、そこまで4年前と変わることはない」と不安はない。代表内定をつかみ、伊調との争いに終止符を打ちたい。

女子76キロ級では2年連続銅メダルの皆川博恵(32=クリナップ)が初の五輪切符に挑む。過去2大会は、リオ五輪翌年で欠場選手がいたこと、昨年は3位決定戦が相手の棄権による勝利だったため、五輪予選となる今大会が過酷なものになることは覚悟している。5月には初の試みで日本女子重量級陣が臨んだフィンランドでの海外との合同合宿にも参加。「日本ではいない練習相手と数多くできたのは良かった」と収穫を得た。組み合わせでは準々決勝で第1位シードのヤセミン・アダー(トルコ)戦が見込まれる。欧州選手権2連覇の強豪をどう攻略するかが問われる。

女子53キロ級決勝には向田真優(22=至学館大)が登場。自身3度目の世界の頂点を目指す。