フィギュアスケートの全日本シニア合宿が21日、大阪府内で報道陣に公開された。

02年ソルトレークシティー五輪(オリンピック)男子シングル代表で、日本スケート連盟の新任フィギュア強化部長に、同副部長から昇格した竹内洋輔氏(40)も取材に応じた。

12年から部長を務めてきた小林芳子さん(64)から先月、重責を引き継ぎ、22年北京五輪に向けて所信表明。「金メダルを含む複数メダルと入賞5つ」などと抱負を語った。

 

以下、主な一問一答。

-北京五輪のプレシーズンに就任した心境は

非常に重責を感じています。身の引き締まる思い。ですが、これまでも小林強化部長と一緒に、いろんな強化施策をやってきたので、引き継いで、よりアスリートのためにやっていく。仕事内容は変わらないと思っていますし、より昇華させるために強化部としてやっていきたい。

-掲げる強化方針は

これまでも長期、中期、短期に分けて我々の中ではやっている。長期はタレント発掘、中期がジュニア強化、短期ではシニアをサポートしてきました。その中でさらに、それぞれ長期、中期、短期で強化サイクルを回している。トップスケーターに対する即時的なフィードバック、科学、医学のリサーチをフィードバックして、出てきた選手のデータを有望新人に落としていったり、コーチにトップ選手の特長を伝えることでコーチも育成したり、そのコーチがトップ選手を育てたり、というサイクルやっている。そこを、より強化していきます。

-22年北京五輪まで1年半。日本の課題は

ルールに左右されるところがございますけど、直近に関しては、やはり4回転ジャンプ、高難度ジャンプの成功率をどう上げていくかが課題になってくると思っています。

-今季、新型コロナ禍で大会の多くが中止になっている。先行きが見えない中で選手に求めるのは

日本スケート連盟としては、オンラインを通じて選手の競技力が落ちないように、表現のトレーニングも含めて提供してきた。体力が落ちないように、表現も含め、多い時は週5日ほどアプローチしてきました。落ちるのを何とか食い止めることを実施してきました。今は練習量が増えてきていて、各競技、スポーツ再開のガイドラインも出てきている。いきなり高負荷のトレーニングをすると、非常に、けがのリスクも高いと(いうデータが)出ているし、新たに、プログラム練習もリモートで行っている選手が出てきましたので、少しずつ負荷を上げていって、どのタイミングでシーズンが始まっても対応できるよう、我々がサポートしていくことが大事なんじゃないかなと思います。基本的にはスタンスを変えず、自分の選手時代の経験を踏まえつつ、コーチの方々から意見を聞いたり、さまざまなアプローチを続けていきたいと思います。

-コロナで先が見えづらいが、今季の目標は

非常に難しいとは思いますけど、北京五輪のプレシーズンになりますので。今年の大きな目標は、来年3月の世界選手権(スウェーデン・ストックホルム)で北京五輪の最大(出場)枠を獲得することです。それに対して必要なことを選手に対してサポートしていきたい。

-新型コロナの影響でチャレンジャーシリーズとジュニアグランプリシリーズへの派遣を中止とした。北京五輪プレシーズン。強化への影響は

やはり我々の方でも、どのようなリスクがあるのか考えました。行く前、行っている最中、行った後、すべての懸念を出しました。その中でも、やはり帰国時に2週間の隔離が必要なことがネックになった。トレーニングできなくなってしまうリスク、それによる競技力の低下の可能性を考えると、今の時点ではリスクを冒すべきではなくて、トレーニングの練習の質を高める方が望ましい、との判断をしまして、今回の決定になりました。

-反対に、国内で実施できる強化策として考えていることは

今、ナショナルトレーニングセンター(NTC)で新しいトレーニングを実施していますし、コーチから試合勘が非常に薄れていると、うかがっている。コーチ等と相談しながら今後、演技会、模擬試合的なものも検討していく必要があるのかを含め、検討していきたいと思います。

-選手の海外派遣に関する方針、考え方は

そちらに関しましては、日本スケート連盟の技術委員会に感染症部会が立ち上がっている。専門家の先生と話し合いながら、さまざまなリスクを勘案した上で判断していきたい。

-東京五輪が来夏へ延期になった。東京も、続く北京も開催への不安が声が出ている

その懸念に関しては、選手自身、強化部である我々がコントロールできることではありませんので、どのような状況になったとしても、それに対して万全に対策を打っていく、ということしかないと思っています。

-東京五輪と北京五輪の間隔が半年になった。現時点で出ている、夏季団体との兼ね合いなどによる強化への支障は

基本的には、ございません。

-北京五輪のメダル獲得数の目標は

金を含む複数メダル。入賞数は5つ。それで検討しております。

-新型コロナ対策の健康チェックは

感染症部会の提言に従いまして、今回の合宿に関しては、選手には、ここに来るまでに健康チェックシートに記入してもらいました。東京近郊の選手で必要な方にはPCR検査を受けてもらっている。さらに、ここに来た段階でもドクターの問診があり、合宿参加の最終的な承認をいただいている。リンク内においても諸注意を共有し、選手は自分の持ち物以外は触らない形にしたり、さまざまな、事細かな点について、細心の注意を払いながら合宿を実施しています。

-選手同士のやりとりについて注意していることは

日常生活は、もちろんマスク着用だったり、ソーシャルディスタンスも保つなどの基本的な対策を取った上でやっています。さすがに「選手同士、話さないでください」はないんですけど、細心の注意を選手にはお願いしています。