スポーツクライミングの採用が決まった2024年パリオリンピック(五輪)は東京五輪から実施種目が変更される。東京はスピード、ボルダリング、リードの総合成績で争う「複合」の1種目で、パリはボルダリングとリードによる「複合」と、独立した「スピード」の2種目となる。日本勢はスピードの得手不得手が分かれるだけに、受け止めは選手によってさまざまだ。

伝統的にボルダリングやリードを強みにする日本勢は東京五輪での採用前はスピードになじみがなかった。日本代表の安井博志ヘッドコーチは複合からスピードが抜けることに「ガッツポーズしている選手も中にはいると思う」と話す。19年世界選手権のリードで銅メダルを獲得した女子の森秋彩(茨城県連盟)はスピードが苦手で「自分的には(複合は)2種目の方が有利」と歓迎した。

対照的に東京五輪代表で男子の楢崎智亜(TEAM au)や女子の野中生萌(XFLAG)は年々スピードの技量を高め、世界トップクラスをうかがう力を身に付けつつある。

パリで複合からスピードが抜けることで「戦い方が変わってくると思う」(野中)と戦略の練り直しが必要になりそうだ。複合とスピードの両方に挑む選択肢もあり、身体能力が抜群の楢崎智は意欲を示している。