白血病から復帰した池江璃花子(20=ルネサンス)が57秒77で3年ぶりに優勝した。

400メートルメドレーリレーの日本代表選考も兼ねており、派遣標準記録は57秒92。このタイムを切って優勝したことで、メドレーリレーの東京五輪代表に内定した。

自ら24年パリ五輪を目指すと話していた中で、奇跡的な復活Vを遂げて涙を流した。代表は、大会後に選考委員会などをへて正式に決まる。

池江の結果を受けて、大会第2日の終了後に日本代表の平井伯昌ヘッドコーチ(57)が取材に応じた。

-池江選手の代表入りについて。白血病から復帰したが、まだ体調面に不安はあるはず。ヘッドコーチとして、どう調整させるかプランがあるか

平井コーチ 特に、池江選手に関しては、ここに来るまで家族や周囲の関係者が体調を第一優先として、トレーニングを積んできたと思う。もちろん(日本代表)チームに入ってくれることで勇気づけられるし、戦力としても頼もしい。ただ、コロナ禍の中で池江選手以外にも言えることだが、常に集まって、という活動ができるか分からない。今後、治療があるのかどうか(状況は)まだ分からないが、体調面を最優先する中で、できるところは合流してもらう形を取るのではないか。今はそう考えている。

-五輪選考会という舞台で3本連続でタイムを更新してきた。メンタルの強さは

平井コーチ 天才。力を出し切る能力がある。ちょうど発病される前のパンパシフィック・アジア大会の時に我々、見せてもらっている。(昨年11月の)北島杯の時には52秒で自由形を泳いだり、何でこの時にこんな力を出せるんだろう、と思っていたが、病気の中でも天性…これは本人の努力だと思うけど、集中力、出し切る能力が1つも衰えていない。鈍っていない。すごく驚きました。

あとは予選、準決勝で「課題だな」「まだなんだな」「ターンも正直うまくいってないな」というところがあったのに、改善してきた。特に準決勝。ターンで最後2かきぐらい手が上がらなくなっていたところ。決勝では最後、どういうタッチにするのかな、と思ってコーチとしても興味深かったが「こうやってくるか!」と。最後、かかないで伸びてタッチして、うまく合わせてきた。本当にすごいなと、スタンドで数人のコーチと見ていました。