渋谷からパリへー。24年パリ五輪で実施されるブレイクダンスの全日本選手権が22日、東京・渋谷の「駅ビル」で行われた。

全国6地区の予選を勝ち抜いた選手が集まったのは渋谷駅直結のストリームホール。この日は予選が行われ、シゲキックス(半井重幸、19)ら男女各4人が23日の決勝トーナメントに進んだ。

昨年は川崎で開催された大会を渋谷に持ってきたのは「都心でやりたいと思ったので」と、日本ダンススポーツ連盟の石川勝之ブレイクダンス部長。音楽やファッションのイベントで人気の会場での開催は「アーバンスポーツ」ならでは。大がかりな施設も会場も不要で、場所を選ばず都会でできる魅力を発信した。

大会には、多くのメディアも集まった。パリ五輪の新種目、しかも日本は世界でもトップレベル。東京五輪でスケートボードがメダルを量産したように、パリ五輪ではメダル有力競技になる。さらに、この大会はパリへの第一歩。ただ、まだまだ課題はある。

実は、パリ五輪出場選手の選考方法は未定だ。石川部長は「ランキング制になると思うが、細かいところは決まっていない」。出場人数は男女各16人。国別の出場枠も未定だが、1人が濃厚。「アジア枠などあれば、2人出られるかも」と石川部長は話した。

ランキングは、スケートボードなどと同様に世界ダンススポーツ連盟(WDSF)が定める対象大会で得られるポイントで決まる。「これから、大会が決まっていくと思う」と石川部長は話したが、新型コロナの影響で流動的。FISE広島大会も20日に中止が決まったばかりだ。

選手はまず日本選手権で2位以内に入り、強化選手に選ばれることが重要。日本連盟の派遣がなければ、対象大会でポイントが獲得できないからだ。ランキングは今季の大会から採用される見込みだから、今大会がパリ五輪へのスタートになる。

パリ五輪金メダル候補のシゲキックスは「今やっていることを続ければ、パリに行けるはず。目の前のことに集中するだけです」とエースの貫禄で話した。ただ、女子は混戦。昨年の世界選手権優勝のアユミ(福島あゆみ、38)に昨年2位で一昨年優勝のアミ(湯浅亜実、23)らが代表の座を争うことになる。

五輪デビューまであと2年。石川部長も「今年はいろいろと準備が大変だと思う」。大会へ向け、代表争いも本格化。渋谷の熱いバトルは、パリ五輪へと続いている。【荻島弘一】