【コロラドスプリングズ(米国)7日(日本時間8日)=木下淳】フィギュアスケート4大陸選手権の公式練習が当地で始まり、今季グランプリ(GP)ファイナル優勝ペアの「りくりゅう」こと三浦璃来(21)木原龍一(30)組(木下グループ)が参加した。昨年末の全日本選手権は飛行機遅延で欠場したが、今回は無事。昨年2月7日の北京五輪団体戦銅メダル獲得から丸1年も、いまだ授与式が行われていない現状への思いと向上心も口にした。

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りくりゅうが初日から元気な姿を見せた。標高1800メートル超の高地で、木原が三浦をツイストやスロージャンプで軽々放り投げる。12月の全日本は搭乗便遅延にロストバゲージの不運に見舞われ欠場したが、今回は拠点のカナダ・オークビルから「(スケート靴を機内に)持ち込めたので」と木原。予定通り前夜に当地へ入り「時差も2時間だけだし、璃来ちゃんの動きも力強かった」と納得した。

あの歓喜から、ちょうど1年の日でもあった。日本悲願の団体戦表彰台に北京五輪で到達した2・7。銅メダル獲得の立役者となった2人だが、ROC(ロシア・オリンピック委員会)女子のカミラ・ワリエワにドーピング検査で陽性反応が出ていたことが大会中に発覚。メダル授与式は延期されたままになっていた。

心境を尋ねられた木原は真摯(しんし)に応じた。

木原 1日も早くメダルがもらえる日が来るといいなと。日本の全員が頑張って勝ち取ったもの。五輪に出場したメンバーで、またお互いの頑張りをたたえ合える日が来たらうれしい。

銅の「暫定」が続く五輪の後、世界選手権で銀、GPファイナルで金を獲得。この4大陸でも表彰台に乗れば、国際スケート連盟(ISU)公認の主要4大会のメダルを全て手にするペアになる。ところが木原は「五輪のメダルは記録上あるだけ(笑い)。取った実感がない。だから逆にいいのかもしれない。常に追いかける立場でいられるので」と手元に届かない状況すら向上心につなげてきた。今大会はV候補筆頭も「自分たちが世界のトップにいる感覚はない」。無心で北京から1年の成長を示す。