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 全日本実業団対抗女子駅伝は14日、宮城県松島町中央公民館前~仙台市陸上競技場の6区間、42・195キロで行われる。昨年のVチーム・デンソーはさらにパワーアップし連覇に挑む。

 チームに安定感が増し、底力がついた。その象徴がエースの高島由香(26)だ。前回大会は5区で区間2位の快走を見せてデンソーの初優勝を決定づけた。今季は1万メートルで自己新を2回マーク。来夏の北京世界陸上標準記録も破っている(12月5日現在で4人が突破)。「去年よりも成長を実感できています。任せられた区間で区間賞を取りたい」と自信を見せる。

 昨年の世界陸上1万メートルで5位に入賞した新谷仁美さんは岡山・興譲館高の1学年先輩。ずっと目標にしてきたが、新谷さんは今年1月に引退した。目標を見失ったのでは?

 と危惧されたが、高島は「自分たちが上がっていくチャンスをもらった」と前向きにとらえ、代表の座に近づいている。若松誠監督(42)も「この1年で本当に成長した。エースと呼んで良い」と全幅の信頼を置く。

 高島以外では光延友希と小泉直子の22歳コンビの充実が今季の特徴だ。中日本予選では2人の走りが「裏のテーマ」(若松監督)だったが、1区の光延が区間新、2区の小泉も区間賞と期待に応えた。

 距離の短い2区(3・9キロ)だが、小泉は全日本大会でも2年連続区間賞を取っている。「今年はタスキをどんな位置でもらっても、絶対に自分のところでトップに立つ」と、過去一番の自信を持つ。

 3区・高島で独走態勢に持ち込めばデンソーが2連勝に近づくが、4区終了時点で接戦になると5、6区の走りが勝敗を左右する。

 5区はマラソンにも挑戦している水口侑子(29)、6区は区間記録保持者の石橋麻衣(25)の起用が予想される。水口はトラックシーズンは不調だったが、「練習は変わらずできている」(若松監督)。石橋は故障に苦しんだが、11月に復帰した。2人が復調すれば盤石だろう。

 05年の三井住友海上を最後に連覇を達成したチームはない。キャプテンの高島は昨年の優勝直後から連覇をチームメイトの前で口に出してきた。「2位や3位では喜べません」。デンソーに王者チームの風格が漂い始めている。