全日本実業団対抗女子駅伝が27日、宮城県松島町文化観光交流館前~仙台市陸上競技場の6区間42・195キロで行われる。予選会トップ通過のTOTOは、岡山・興譲館高を全国高校駅伝優勝に2回導いた森政芳寿監督(59)が就任して3年目。クイーンズ駅伝でも初入賞を狙う。

 予選会は3区終了時には7位だったが、4区のシュル・ブロ(18)でトップに立つと、5区の14年アジア大会マラソン代表だった早川英里(35)が区間3位で首位固め。アンカーの6区は、双子の川上姉妹の姉のさくら(20)が区間4位で逃げ切った。

 森政監督は「ビックリ」と、予想以上だったことを認めつつ、真っ先に「ブレーキなく自分たちのレースをしたこと」を勝因に挙げた。その上で「4区のブロは周りに目標となる選手がいたことで力を発揮し、早川は向かい風の中、よく走ってくれました。さくらもよかったですね」と、4区以降の選手たちをたたえた。

 TOTOの拠点は北九州市だが、中途入社の早川だけは東京を拠点に、トライアスロン元日本代表の山本光宏コーチの指導で練習を積んでいる。早川以外は全員が22歳以下の若い選手だが、「監督が上手くアドバイスをして追い込むときは追い込み、抜くときは抜くなど、練習がスムーズにできています。選手と監督の信頼関係ができている」と、早川の目には映っている。早川もチーム合宿には積極的に合流して、一体感を持てているという。

 クイーンズ駅伝では前半をどう、乗り切るかが課題となる。予選会では1区と3区が区間10位以下だったが決定的な差とはならなかった。しかしレベルの上がる本戦では致命傷となる可能性がある。

 予選会1区の大森巴菜(18)は、6月のアジアジュニア選手権に優勝した期待の選手。3区の川上わかば(20)は9月の全日本実業団1万メートルで5位と快走し、長距離関係者を驚かせた。伸びしろのある2人が本戦では1区(7・0キロ)と3区(10・9キロ)に起用される予定で、好走する可能性は十分にある。「本戦も高望みせず、選手たちをのびのび走らせたい」と森政監督。チームの無欲の姿勢が若い選手たちの力を引き出せば、入賞も見えてくる。