<実業団女子駅伝西日本大会>◇28日◇福岡県宗像市役所発着6区間42・195キロ

 西日本大会になった2009年以降では初めての優勝をワコールが達成した。2区終了時点で12位と出遅れたが、3区の福士加代子(30)で一気にトップに立つと、5区(10.8キロ)でも高藤千紘(21)が35分22秒の区間新でだめ押しの快走。ロンドン五輪マラソン代表の木崎良子(27)、名古屋ウィメンズマラソン日本人2位の中里麗美(24)の2枚看板を擁するダイハツに1分5秒もの差をつけて快勝した。

 永山忠幸監督は「一か八かのレースで当たっただけ。まだ安定した力がない」と謙遜気味に話す。だが、「ニューヨークに福士を気持ちよく送り出すために、中途半端な順位で送り出したくない気持ちが強かった」と選手たちの頑張りを評価した。

 高藤は筑紫女学園高を卒業して3年目の新鋭。1年目に全日本実業団対抗女子駅伝最長区間の5区に抜擢されたが、区間16位のブレーキで3位から6位に順位を落とした。今季はハーフマラソンや30キロなど長い距離のレースに挑戦し、トラックの1万メートルでも自己新を出すなど高いレベルで安定してきた。

 合宿では福士と同部屋になることが多く「走り方から生活まで、真似をしたら走れると思っています」と、偉大な先輩の全てを吸収しようと貪欲だ。「将来はマラソンで日の丸をつけたい」。

 昨年の全日本大会は優勝した第一生命から1分27秒差の6位だったワコール。永山監督は「高藤が芯の強さを発揮してくれた。全日本に向けて明るい材料が増えましたね。去年のタイムを上回れると思います」。だが、優勝の2文字は口にしなかった。

 一昨年は3区の福士でトップに立ったが後半で8位まで順位を落としたが、今年は高藤の成長で後半の軸ができた。昨年は福士が3区で6位に上がりその順位をキープしたが、1区で15位と出遅れていたのが響いた。今大会も1区課題は今大会も出遅れた。「全国で勝つためにはとにかく1区です」

 1区候補選手の奮起が、名門ワコール17年ぶりVのカギを握る。