<陸上:ダイヤモンドリーグ最終戦・バンダム記念>◇6日◇ベルギー・ブリュッセル

 モスクワ世界陸上女子短距離3冠のシェリー・アン・フレイザー・プライス(26=ジャマイカ)が100メートルで圧倒的な強さを見せた。得意のスタートでリードを奪うと、中盤以降も後続を引き離す一方。10秒72はモスクワ優勝時に出した10秒71の今季世界最高に0・01秒と迫る好記録だった。「身体的には疲れていたけど、メンタル的にはモチベーションが高かったの」

 ダイヤモンドリーグのツアーチャンピオンにも100メートルと200メートルで輝き、4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーをダブルで獲得した。

 フレイザー・プライスの強さを示しているのが2位とのタイム差だ。モスクワでは2位に0・22秒差、今大会ではアレキサンドリア・アンダーソン(26=米国)に0・25秒もの大差をつけた。この種目の過去の世界陸上での1・2位最大差は0・10秒である。

 今季のレースぶりから10秒64の世界歴代2位は完全に射程圏。フローレンス・ジョイナー(米国)の世界記録、10秒49に近づく期待もある。

 だが本人は、「段階的に進化し続けたいと思っていますが、世界記録までは考えていません」と、タイムに執着していない。「このあとはジャマイカに帰って休暇を取り、社会的な活動もする予定です」

 貧しい環境から女子短距離の第一人者に上り詰めた女王は、チャリティー活動などにも力を入れている。