<陸上:仙台国際ハーフマラソン>◇13日◇仙台市陸上競技場発着21・0975キロ

 ロンドン五輪男子マラソン代表の藤原新(30=ミキハウス)が、五輪を見据えた「揺さぶり戦法」で快走した。前半は集団の中で自重。13キロ付近でスパートと見せかけて他の選手を先に行かせ、ペースが落ちて脱落してくる選手を、本当のスパートで抜き去り、1時間3分32秒の日本人トップの2位でゴールした。川内優輝(25)は4位。優勝は1時間1分34秒でマイナ(富士通)だった。

 藤原はしてやったりの表情だった。スパートと見せかけた「揺さぶり」でライバルを翻弄(ほんろう)。まんまとはまった川内らを横目に「ずるいやり方ですが、計算通り」と日本人トップの2位でゴールした。

 マイナ、ダニエルの富士通勢が飛び出す中、前半は集団で自重した。13キロ付近で抜け出すと、川内、吉井が藤原を追った。しかし、藤原はすぐにペースダウン。川内と吉井はそのまま飛び出した。「揺さぶりでした。2人は後で絶対にダメージが来ると分かっていた」。15キロ手前で2人に追いつくと、今度は本当のスパート。そのまま抜き去った。18キロ過ぎには、15キロ地点で200メートル以上離れていたダニエルを抜いて2位に浮上。「後半、きつくても動くという感覚は収穫だった」と余裕の表情だった。

 五輪代表が決まってからは、自ら会社を起業し、スポンサーやマスコミにも引っ張りだこ。それだけに「メディアばかり出ていて大丈夫かという声も聞こえてきた。結果を出せてホッとしている」。日本人トップで世界ハーフマラソン(10月・ブルガリア)の代表も手に入れたが「その頃は抜け殻」と辞退するつもりだ。【吉松忠弘】