ニッカンスポーツコムの陸上コラム「データマン野口の陸上記録のアレコレ」でおなじみの野口純正さんが、世界陸上で盛り上がる韓国大邱からホットな陸上記録アレコレをお届けします。今回100メートル予選を通過したウサイン・ボルトの平均ストライドは何センチ?【その1

 女子マラソン】

 最初の5キロ18分34秒は、2007年大阪大会より1秒遅く、世界選手権史上最も遅い入りで、20kmとハーフの通過もこれまでで最も遅かった。

 女子マラソンでの金銀銅メダル独占(今回はケニア)は、世界選手権とオリンピックも含めて史上初。世界選手権ではこれまで、日本が2つのメダルを同時に獲ったのが最高(1993年シュツットガルト大会で金・浅利純子、銅・安部友恵。2003年パリ大会で銀・野口みずき、銅・千葉真子)だった。

 1位から8位までの差1分42秒は、大会史上最小差(従来は、2007年の1分45秒差)。

 日本は大会史上11個目のメダル獲得はならなかったが、歴代得点(1位8点~8位1点)ではトップ(下表参照)のまま。今回、ケニアが一気に21点を獲得して4位から2位に浮上した。

 1997年から行われている団体戦(上位3人の合計タイム)で、日本(今回4位)がメダルを獲れなかったのは残念ながら史上初。

 <表>世界選手権女子マラソンの国別歴代得点上位8国(1983~2011年)順位)得点

 国名

 

 

 

 1位

 2位

 3位

 4位

 5位

 6位

 7位

 8位1)103

 日本

 

 

 

 

 2

 

 5

 

 3

 

 4

 

 1

 

 2

 

 1

 

 22)54

 

 ケニア

 

 

 

 3

 

 2

 

 1

 

 -

 

 -

 

 1

 

 3

 

 13)42

 

 ポルトガル

 

 2

 

 2

 

 -

 

 1

 

 -

 

 1

 

 2

 

 -4)37

 

 ルーマニア

 

 1

 

 1

 

 3

 

 -

 

 1

 

 -

 

 -

 

 -5)37

 

 中国

 

 

 

 

 1

 

 1

 

 -

 

 2

 

 2

 

 1

 

 -

 

 16)30

 

 エチオピア

 

 -

 

 -

 

 1

 

 3

 

 1

 

 1

 

 1

 

 -7)22

 

 ドイツ

 

 

 

 -

 

 -

 

 1

 

 -

 

 1

 

 3

 

 1

 

 18)21

 

 ソ連

 

 

 

 

 -

 

 1

 

 1

 

 -

 

 1

 

 1

 

 -

 

 1

 

 ※国名は当時のもの【その2

 同一種目でのメダル独占】

 男子で過去に10回。女子は今回のマラソンで7回目。

 過去の「メダル独占」は、以下の通り。

 <男子>

 

 1983年

 100m

 

 

 

 米国

 

 1983年

 走幅跳び

 

 

 

 米国

 

 1991年

 100m

 

 

 

 米国

 

 1991年

 走幅跳び

 

 

 

 米国

 

 1997年

 3000m障害

 ケニア

 

 2001年

 20キロ競歩

 

 ロシア

 

 2003年

 10000m

 

 エチオピア

 

 2005年

 200m

 

 

 

 米国(4位までを独占)

 

 2007年

 400m

 

 

 

 米国

 

 2007年

 3000m障害

 ケニア

 <女子>

 

 1983年

 7種競技

 

 

 

 東ドイツ

 

 1993年

 3000m

 

 

 中

 国

 

 2001年

 10000m

 

 エチオピア

 

 2005年

 5000m

 

 

 エチオピア(4位までを独占)

 

 2005年

 10000m

 

 エチオピア

 

 2007年

 走幅跳び

 

 

 

 ロシア

 

 2011年

 マラソン

 

 

 

 ケニア【その3

 男子100メートル予備予選】

 今回から男女の100メートルでは、参加標準記録を突破せずに出場した選手のみによる「予備予選」が行われた。

 男子の第4組で最下位だったソゲラウ・ツバル(アメリカンサモア)の記録は15秒66(向風0.9メートル)。この記録は、世界選手権の男子100メートル第1次予選(今回の予備予選も含む)で、最初から最後までを「真面目に走った(と思われる)記録」としては過去最低。従来は、2001年エドモントン大会の第1組で同じアメリカンサモアのトレボア・ミシペカがマークした14秒28(向風0.2メートル)が最低記録だった。

 なお、途中で故障などをおこして最後まで完走した第1次予選の最低記録は、1997年アテネ大会の第5組を走ったキム・コリンズ(セントキッツ・ネービス)の21秒73(向風0.6m)。コリンズは、6年後の2003年パリ大会では金メダルを獲得している。【その4

 男子ハンマー投げ予選】

 室伏広治が予選で投げた78メートル56は、今回で7回目の出場となる世界選手権の予選で、室伏がマークした記録としては、2003年パリ大会の79メートル45についで2番目。この時の決勝では80メートル12で銀メダル。3回出場した五輪の予選では、2004年アテネ大会の79メートル55が最高で、決勝は82メートル91で金メダルを獲得した。

 室伏の世界選手権と五輪での予選と決勝の記録は下記の通り。

 

 年・大会

 

 

 予選

 

 

 

 

 決勝

 

 

 

 

 

 予選と決勝との差

 

 95年世選

 67m06

 落選

 

 97年世選

 75m28

 74m82=10位

 

 ▲0m46

 

 99年世選

 75m18

 落選

 

 00年五輪

 78m49

 76m60=9位

 

 

 ▲1m89

 

 01年世選

 78m06

 82m92=2位

 

 

 +4m86

 

 03年世選

 79m45

 80m12=3位

 

 

 +0m67

 

 04年五輪

 79m55

 82m91=1位

 

 

 +2m36

 

 07年世選

 77m25

 80m46=4位

 

 

 +3m21

 

 08年五輪

 78m16

 80m71=5位

 

 

 +2m55

 

 11年世選

 78m56

 

 

 

 ???

 上記の通り、2001年以降の5回の世界大会では予選の記録をすべて上回り、5大会の平均は3メートル41のアップ。

 

 

 【その5

 女子10000メートル】

 女子10000メートルでの同一国の金銀銅メダル独占(ケニア)は、2001年と2005年のエチオピアについで史上3回目。4位まで独占は史上初で、他の種目では、2005年の男子200メートルのアメリカと同年の女子5000メートルのエチオピアについで3回目。

 優勝したチェルイヨットのラスト400メートルは「61秒71」。ラスト1周の100メートル毎は、「16秒5」-「15秒0」-「15秒3」-「14秒9」(以上、スタンド記者席からの非公式手動計時)。ラスト1500メートルは、4分22秒0で2011年現時点の1500メートル日本リストの17位に相当する。【その6

 男子100メートル予選】

 6組1着(10秒10。向風0.7m)のウサイン・ボルトが100メートルに要した歩数は「39.7歩(最後の0.7歩は目測)」。平均ストライドは、251.9センチ。平均ピッチは毎秒3.93歩。

 2009年ベルリン大会で9秒58をマークし時は、トータル歩数は40.92歩、平均ストライド244.4cm、平均ピッチは毎秒4.27歩だった。