スペインで行われたフィギュアスケートのグランプリファイナルで世界歴代最高得点で男子史上初の3連覇を達成した羽生結弦(21=ANA)が15日、帰国し羽田空港に到着した。

 同空港で行われたインタビューは以下のとおり。

 -世界歴代最高点を更新、史上初の3連覇。日本でも大きな話題となった。反響をどう感じるか

 羽生 実際日本にいたわけではないですし、飛行機の中で読んだ新聞でもスポーツ紙などはほとんど1面。ビックリしたというのが本音ですね。僕の中では前回の大会で世界歴代記録、300点超えというものを、本当に達成感とともに得ているので、何か今回は自分の中で安堵(あんど)感という方が強い。そういう意味でもビックリしています。

 -さらなる進化にも期待が

 羽生 本当に周囲が「点数、点数」という風になっているときだと思いますけど、僕自身は点数とか関係なく、自分自身のスケートをどれだけ向上させられるか、磨いていけるかということが大切だと思う。フィギュアスケートというのは本当に好きずきがある競技ですし、会場によっても見え方が全然違いますし、見ている方の背景でも演技の見え方が全然違ってくると思うので、どんな方が見ても「素晴らしいな」と思っていただける演技ができればいいと思う。

 -すぐに全日本選手権。タイトな日程だが

 羽生 今の段階では前回大会からのファイナルに向けた調整期間とあまり変わらないと思っているのと同時に、あとは逆にそれを同じようにやり過ぎて、調整にちょっとした誤差が出たりしないかという若干の懸念もあるので、臨機応変に全日本に向けた体を作っていけるか。今の自分にとって大きな課題です。

 -全日本に向けてどういう演技を

 羽生 期待されるというのは大いにうれしいことだし、もちろん注目されることも間違いなくうれしいことではある。ただその中でも結局、滑るのは僕自身ですし、皆さんの期待に応えられるか、皆さんの力を受け止めきれるかというものも最終的には僕自身の練習であったり、緊張感のコントロールが非常に大切になってくる。僕自身が皆さんの力を受け止め、自分の力を発揮できるような状態を作りたいと思っています。

 -今年の漢字が「安」に決まった。昨年は「生」を自分の漢字に挙げていたが今年は

 羽生 うーん。難しいですね。すみません、最後にもう1回お願いします。(苦笑いしながら)考えとけば良かった。

 -羽生選手を表す漢字で「神」を挙げるファンの声も

 羽生 全然神じゃないです。神様は実際いると思うけど、それは何を信じられるか信じられないかということだと思うの。僕なり信じているものがたくさんありますし、ファンの皆さんからそういう声をいただくのはありがといというか恐縮なんですけど、僕からしてみたら応援してくださる皆様が神。見えないところから力をくださる方なので、神様に近い存在じゃないかと思います。

 -全日本選手権で先を見越して何かを試すようなことは

 羽生 ないですね。試すという言葉を使わせてもらうと、自分の中で試すというのは「力を抜いている」じゃないですけど、そういうような感情が自分の中でわいてしまうのでそれは絶対にいやだなと。絶対に飛ぶぞ、飛べるぞという気持ちが自分の中でしっかり芽生えてからじゃないと、そういうことはしたくないと思っています。もちろん他の選手たちにまけないように、まずは自分の演技をしっかりと頑張りたいと思っています。

 -羽生選手にとって今年の漢字は

 羽生 1文字なんですよね。難しいなあ。自分のテーマとしては成長したという思いがある。成長という言葉を挙げたい。将棋で裏になるのを「成」というじゃないですか。それもいいかな。「成」で。別に(織田)信成さんにかけてるわけじゃないですけど。ここからさらに強くならないといけないと思います。