高梨沙羅(20=クラレ)が「鳥人」に並んだ。1回目95・5メートル、2回目に最長不倒の98メートルを飛び、268・1点で13~14年シーズン以来3季ぶりの開幕2連勝を飾った。W杯通算46勝目を挙げ、歴代2位で伝説のジャンパー、マッチ・ニッカネン(フィンランド)に並んだ。

 高梨が完璧な形でシーズンのスタートを切った。初戦でジャンプ台の特徴を完全につかんだ自信から、2戦目は試技を飛ばず本番へ。「やるべきことは決まっていた」と、ともに追い風ながら1回目95・5メートルでトップに立つと、2回目は98メートルまで伸ばした。2位伊藤を飛距離換算で6メートル以上離し、余裕の2連勝を飾った。

 開幕戦に続き2回とも1位の飛距離、得点を記録する完勝。「今日は昨日よりも、より強くスキーに力を伝えられた。特に1回目のジャンプが良かった。興奮している。とても幸せ」と振り返った。

 「鳥人」に並んだ。15歳だった12年3月にW杯初勝利を挙げて以降、6季目で、五輪で個人4個の金メダルを獲得したニッカネンのW杯46勝に到達した。選手層や歴史に違いがある男女の数字を単純比較できないことは理解した上で「記録を一緒に並べて見てもらえるのは自信になる」と口にした。

 女子では圧倒的強さを誇るも、真の目標はもっと高いところにある。男子を意識した力強いジャンプを目指しており、将来的には男子の試合に出ることも夢見ている。「まだまだ足元にも及ばない」。歴史を塗り替え続ける20歳の女王は勝ってなお、かぶとの緒を締め、進化を目指す。

 来年2月の世界選手権(フィンランド・ラハティ)、18年平昌五輪へ弾みをつける最高の滑り出し。「次戦のニジニタギル(ロシア)はリレハンメルとは違う。でも既に何度か飛んでいるので、より良いジャンプを見せたい」。3季ぶりの開幕3連勝で、さらにリードを広げていく。