浅田真央(26=中京大)が来季の現役続行を宣言した。SP8位で臨んだフリーでトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に挑戦したが転倒。ミスも重なり114・10点、合計174・42点で自己ワーストの12位に終わった。今大会の表彰台を逃すのはソチ五輪後に休養した14~15年シーズンを除き、03年以来。競技終了後に発表された世界選手権の女子代表入りは逃した。今季残りの試合予定は白紙だが、集大成と捉える18年平昌五輪を目指し、来季も現役を続けると明かした。

 浅田が思い描く「最高の演技」はできなかった。「残念」の気持ちと同時に湧いてくるのは「ここまで戻してこられたのはうれしい」という喜び。トリプルアクセル、3回転-3回転の連続ジャンプ。不調のため、今季ここまでできなかった技に挑めたこと自体が大きな前進だった。10度目の世界選手権を含む、今季終盤の大会切符は何もつかめなかった。今季残りの予定は白紙。それでも、来季もやるかとの報道陣の問いに、即座に「そうですね。はい」と答えた。浅田はまだ滑り続ける。

 前日のSPで回り損ねた冒頭のトリプルアクセル。「ゆがんでも、何があっても回ろう」と勇気を出して跳び上がったが、転倒した。この日の練習では4本試し1度成功。失敗するリスクは高いまま。それでも「競技者として、現状維持ではなくて、最高レベルのものを目指したい」。意志を貫いた。

 出場30選手中最年長の26歳。12歳で初出場した02年から数え今回で出場14度目を誇る。「天才少女」と呼ばれ、元気いっぱい軽やかに跳んでいた10代の頃とは違う。20代後半に入り、浅田は体の衰えと向き合う。練習は、体力や体の故障の影響で量が積めない。その分、いろいろ試し「1回の密度は濃い」と胸をはる。無心で臨んでいた海外遠征も、今は時差が体にこたえる。試合から逆算し、機内で睡眠時間をコントロールしている。

 それでも氷上に居続ける理由は「好きで戻ってきたから」。今季落ち込む度に、言い聞かせるように何度も繰り返してきた。今大会は今季初めて練習を積んで臨んだ。「不安はなかった」。自信を取り戻し、求めるものが見えてきたところで、辞めるわけにはいかない。

 ただ、目標とする平昌五輪へは厳しい道のりが待つ。来季、国際主要大会で結果を残せなければ、1年後の全日本で優勝することが求められる。また、ジュニアからシニアに上がる選手も多く、本田ら強力なライバルたちに勝たねばならない。まずは、フィギュア人生で初めて訪れた白紙の数カ月をどう過ごすのか。滑り続けることを決めた浅田の挑戦がここから始まる。【高場泉穂】

 ◆浅田の平昌五輪への道 14年ソチ五輪は全日本選手権優勝者や全日本2、3位の選手とGPファイナルの日本人表彰台最上位者などから代表が選出された。平昌五輪も前回と同様の選考方法ならば、まずは来年のGPシリーズに出場し、ポイント上位6人に入り、GPファイナルに出場することが必要になる。現時点で国際大会の成績が振るわない浅田は、来年のGPシリーズの出場が確約されておらず、その場合、残された道は年末の全日本選手権で優勝すること。平昌五輪の選考方法は来年夏に決まる予定。日本の出場枠は来年3月の世界選手権で決まる。