今大会は100メートルと400メートルリレーに出場。ともに頂点に立てば、自身の持つ最多世界選手権金メダル数を13に伸ばす。2位のカール・ルイス(米国)に5個差をつける。一気に越えられない壁となる。五輪と合わせれば、これまで20個のメダルを獲得している、超負けず嫌いの男は「世界記録は生きている間に破られたくないか」とも聞かれ、きっぱり言った。「俺の子どもが15歳、20歳になって『俺が一番速い』って言ってやりたい。生きているうちは抜かれたくないね」。

 今大会で引退するが、セカンドキャリアの野望も尽きない。複数の海外メディアによると、ドイツの強豪ドルトムントを始め複数のサッカークラブから練習参加の誘いが届いているという。「それは間違いなく、検討するな」と転身に前向き。それだけではない。「俳優になって、アクション映画に出ているかもしれないな」。

 最後は新スパイク色である金と紫の無数のテープが垂れる中、お決まりのボルトポーズを決めた。スーパースターらしく、華やかに会見場を後にした。

 ◆ウサイン・ボルト 1986年8月21日、ジャマイカ・トレロニー生まれ。09年世界選手権の100メートルで9秒58、200メートルで19秒19の世界記録を樹立。12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪で100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目を制覇。196センチ、95キロ。