12歳の玉井陸斗(JSS宝塚)が、初出場初優勝を飾った。

予選を全体トップの414・20点で通過。決勝も397・40点で制した。中学1年になったばかりの4月に日本室内選手権を史上最年少12歳7カ月で制した飛び込み界の超新星。年齢制限のため、今年中の東京オリンピック(五輪)代表内定のチャンスはなかった。7月の世界選手権で4位に入った13歳のウクライナ選手に刺激を受け、来春の東京切符から夏の五輪メダルを目指す。

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玉井は、初優勝を飾っても反省を口にした。「今日の出来は20点ぐらい。全てが課題です」。予選、決勝で同じ種目で入水が乱れて「(ジャンプの)出だしの思い切りさがなかった」と反省。10日前に痛めた左肘にテーピングを巻いていたが「今は痛くないです」と淡々と口にした。

同世代で国内に敵はいない。だが世界に目を向けると刺激的な存在がいる。年齢制限で不出場だった7月の世界選手権は「動画サイトで見てました」。男子高飛び込みで13歳のウクライナ選手が4位に入った。玉井より9カ月早く生まれた相手を見て「僕よりも(技の)難易度は低いけど、入水がまとまっている。僕も思うような演技ができたらそういう結果がついてくる」。回転スピードと美しい入水が持ち味の玉井は、世界トップにひけをとらない難易度で種目を構成する。五輪メダルが夢物語ではないことを13歳のライバルが証明していた。

4月の衝撃Vで大きな注目が集まったが、世界選手権に加えて、優勝=五輪内定のアジア杯(9月、マレーシア)も年齢制限(開催年の12月31日時点で14歳以上であること)で出場できない。同杯では日本水連が1度は「出場可能」と発表するドタバタもあった。それでも「今は2月のことを考えています」ときっぱり。年齢制限をクリアする来年、2月の日本代表選考会で結果を出し、同4月のW杯東京大会で上位18人で争う準決勝に進めば、五輪切符が手に入る。

世界選手権では同門の寺内、荒井が東京切符を獲得した。玉井は「自分の先輩なのでうれしかったです」とにっこり。「五輪も近づいているし、自分も続きたい。来年は五輪にしっかり出て、メダルをとれたらいいと思います」と目標を掲げた。【益田一弘】

◆玉井陸斗◆ たまい・りくと。2006年(平18)9月11日、兵庫県宝塚市生まれ。小1の時に競技を始め、小5から寺内らと練習。今年4月に宝塚市立高司中学校に入学した。同じ4月に日本室内選手権で史上最年少優勝を飾った。143センチ、36キロ