今月上旬のグランプリ(GP)ファイナル銀メダルの山本草太(22=中京大)は23番滑走で登場し、86.89点で3位だった。

冒頭からの4回転ジャンプ。最初のトーループは3回転もつけて連続にしたが、続くサルコーが2回転になった。「こっちにきてから、少しだけ同じ失敗が出ていた」。右腰の開きがわずかに早くなり、力をうまく伝えられずに回転をほどいてしまった。今季抜群の安定感を誇ってきたジャンプにミスが出た。

「悔しいかなって思います。ショートですごくノーミスを何回も連続で本番でやっていったので、連続してやれている自信と、これを全日本で出せるかなっていう不安もあったので。でも、毎回うまくいくわけではないので、これが試合ですし、スケート人生かなって思う」。

結果を受け止め、心を切り替えた。

飛躍のシーズンを送ってきた。GPシリーズ第3戦フランス杯で初の表彰台となる銀メダルを手にすると、第5戦NHK杯でも再び銀メダル。一気にファイナル進出も決め、そこでも頂点に迫った。

ジュニア時代には世界の最前線で戦ってきた。15年の右足首の疲労骨折から長いリハビリをへて、いま再び国内外でトップを目指す舞台に立つ。SP曲は「イエスタデイ」。過去を振り返りながら前に進む歌詞が心に響く。

「背景と自分の人生とを合わせて表現してますし、自分のスケート人生がこのプログラムにはとてもうまくはまって、すごく自分らしいプログラムになっているんじゃないかなって思います」。

失敗に落ち込むよりも、前を向く。ジャンプミスの原因もしっかり分析できている。フリーでさらに上を目指す。

【全日本選手権男子SP詳細】宇野昌磨が首位、2位に島田高志郎 鍵山優真は6位