“のぞき穴”が秘密兵器!?

 中京大は14日、愛知・豊田市のキャンパスに完成したフィギュアスケート専用サブリンクのオープニングセレモニーを実施した。同大には浅田真央(18=中京大中京高)が今春に進学予定で、安藤美姫(21=トヨタ自動車)も在籍中。2人の世界女王の新練習拠点の天井には計98個の穴があけられ、将来的にはすべての穴にビデオカメラを設置予定。詳細な映像分析が可能となり、五輪金メダリスト誕生を後押しする。

 晴れの新リンクお披露目にもかかわらず、天井はつぎはぎのようだった。3メートル間隔で縦14列×横7列。この日はふさいでいた全98個にも及ぶ穴が、07年安藤、08年浅田の世界選手権覇者を、五輪金メダリストへと導く秘密兵器だった。

 将来的にすべての穴にビデオカメラを取り付け、詳細な映像解析が可能になるという。中京大の北川薫学長は「世界でも類を見ない設備。予算の関係でまだ1台も設置されていないが、数台なら近いうちに、1~2年のうちには全部そろえられるはず。回線をつなげばモスクワや北米にいるコーチの元にもすぐに映像が届く」と説明。ロシア人のタラソワ・コーチから、電話やアシスタントコーチを介して指導されることも多い浅田が、的確な指示を受けることも可能になる。

 もともと浅田や安藤ら選手から、映像解析を充実させてほしいという要望が強く、今回の“のぞき穴”が誕生した。レインボーリンクの正式名称に「Miki&Mao」の愛称も付けられた同リンク建設にかかった総工費は約4億円。ただし「億単位」(北川学長)という98台のビデオカメラ購入費、さらにタラソワ・コーチや安藤のモロゾフ・コーチの元へ即座に映像を送るための回線整備など、のぞき穴の有効利用に要する費用はまだかかる。隣接する07年5月完成の60×30メートルのメーンリンクが同11億5000万円だったが、やや小ぶりな40×20メートルの新リンクの「最終形」には、それに近い金額が費やされる見込みだ。

 ほかにも、演技チェック用に2つの大きな鏡を設置し、指導をスムーズにするためにフェンスを取り払うなど、いたるところに工夫が施されている。浅田が「小さくてかわいいリンクで素晴らしかった。氷の感触も良かった」と言えば、安藤も「パーフェクト。振り付け、スピンの練習向き」と、そろって絶賛していた。【高田文太】