2020年東京五輪(オリンピック)・パラリンピック大会組織委員会は5月31日、都内で記者会見を開き、男女マラソンコースを発表した。新国立競技場を発着点として浅草、銀座、東京タワーなど観光名所を巡る。競歩は皇居外苑を舞台に、二重橋前を発着点とした周回コースとなった。

 東京の魅力が凝縮されたルートとなる。新国立競技場→新宿御苑→東京ドーム→神保町→日本橋→雷門→銀座→東京タワー→皇居外苑→新国立競技場。まさに観光の名所を巡っている。室伏広治スポーツ局長(43)は「史上最高のオリンピックのコースになる」と話した。折り返しは25キロ手前・増上寺と33キロ付近・皇居外苑の二重橋前の2度。5月下旬に国際陸連の担当者が視察し、正式にコースの承認を受けていた。

 12年ロンドン五輪、16年リオデジャネイロ五輪など近年の国際大会は、集客面などの不安から周回コースだった。しかし日本はコースが広範囲になっても、多くの観客が見込まれることから東京五輪は巡回コースを採用。00年シドニー五輪女子マラソン金メダリストで、アスリート委員長を務める高橋尚子さん(46)は「選手にとってもコースに飽きがこない。気分を変えて走ることができる」と言う。変わる景色に加え、道幅の広さもある。走る選手にとっても魅力は多い。

 37キロ以降が勝負の分かれ目になりそうだ。上り坂が続き、高低差は約30メートル。序盤のペース配分も重要で、高橋さんは「体力、知力を兼ね備えた選手が勝つコース。最後の最後まで勝敗が分からない、ドラマチックな展開になるのではないでしょうか」と語った。中盤は平たんな道が続くだけに、終盤の上りで一気に差が広がることが考えられる。また気温30度以上の条件下が予想されるだけに、快走していた選手が急失速する可能性もありそう。歴史に残る名勝負が繰り広げられそうな舞台となった。

 女子は8月2日、男子が同9日、ともにスタートは朝で調整が進められている。7月の国際オリンピック委員会の理事会で承認を得て発表される予定だ。【上田悠太】