目指せ世界一! 24日からの国際オリンピック委員会(IOC)総会で、ブレークダンス(ブレイキン)が24年パリ五輪の追加種目として承認される。

昨年8月に国内最高峰の「Red Bull BC One Japan Cypher」に北海道から唯一出場した、「Hokt(ホクト)」こと米沢北人(函館商2年)は15日、八戸市内で行われた大会に出場し、準優勝した。今年の「BC One Japan」(8月17、18日)は地元函館での開催。世界屈指の選手層を誇る日本で頂点に立ち、5年後の五輪メダル奪取へつなげる。

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24年パリ五輪での追加種目承認が目前となり、ブレークダンスの北海道第一人者・米沢(函館商2年)のダンスにも、一層熱がこもる。この日出場した八戸の大会でも準優勝。「五輪競技になれば、ダンスをやっていない人にも知ってもらえるチャンス。僕も5年後にメダルを取れるような選手になりたい」と意気込んだ。 高橋一生似のクールな表情で、鮮やかに宙を舞う。静かにステップを踏んだかと思いきや、片手で全身を支えクルクル回り出す。得意技「エアフレア」だ。ブレークダンスは、小4のとき、動画で世界最高峰のダンスバトル「Red Bull BC One」を見て、魅力にとりつかれた。「正解がない。それがいい。踊る人によって、すべて違って見える」と言う。 専属の指導者はおらず「動画を見たり大会に出たときに、他の人の動きをまねて再現する」。函館市内の公共の体育館や、自宅にある8畳間がスタジオ代わり。家では父幸博さん(43)がマンツーマンで動きを観察し指摘する。専門家ではないが「小さいころから身のこなしを見てくれているのでアドバイスが的確」。家族の意見も取り入れながら、踊りに磨きをかける。 函館商の国際経済科に進学したのも、将来を見据えての選択だった。英語の授業が多く「通訳とか、将来はダンスにかかわる仕事ができればと。でも、ダンス自体でご飯を食べていけたら、それが一番」と思い描く。初出場の昨年は初戦敗退した「BC One Japan Cypher」だが、今年は函館での開催。「地元開催なんて2度とないかもしれない。頂点を狙いたい」。優勝者には9月の世界大会(インド)出場権が与えられる。日本は昨年のユース五輪でメダル3個を獲得した若い才能の宝庫。高いレベルで競り合い、世界のトップに躍り出る。【永野高輔】

◆米沢北人(よねざわ・ほくと)2002年(平14)9月26日、函館市生まれ。5歳から函館中の沢小1年までサッカー。同小2年からスタジオ「Dance Space Rize」でダンスを始める。函館桔梗中3年時に「DREAM CUP2017」中学生部門で初優勝し、昨夏の「BATTLE OF THE YEAR JAPAN」U-15でも優勝。8月に日本で16人しか出られない「Red Bull BC One Japan Cypher」に初出場。家族は両親。162センチ、52キロ。血液型A。

◆ブレークダンス 1970年代に米国のストリートで人気になった若者文化がダンススポーツとして定着。「ブレイキン」と呼ばれる競技として、2018年10月の夏季ユース五輪(ブエノスアイレス)で初採用された。試合は1対1や2対2で左右に分かれ、30~40秒の時間内に音楽に合わせ即興でダンスを披露し合う。立って踊る「トップロック」、頭や肩など全身で跳ねたり回転する「パワームーブ」など、ステップやスピンの技の難度に加え、音楽との調和性や創造性などの要素が評価対象となる判定競技。昨年のユース五輪では男女個人と混合団体が実施され、Ram(ラム=河合来夢、18)が女子と混合で金メダル、男子はShigekix(シゲキックス=半井重幸、17)が銅メダルを獲得した。日本は世界屈指の強豪国で、ストリートダンス愛好者は国内で100万人を超える。