新型コロナウイルス感染拡大で東京五輪は延期となった。選手が来夏の祭典で獲得を目指す五輪メダル。各競技でどのような歴史が刻まれてきたのか。「日本の初メダル」をひもとく。

   ◇   ◇   ◇

前回の16年リオデジャネイロ大会、実施28競技の中で唯一日本が出場できなかったのがハンドボール。男子は88年ソウル大会を最後に遠ざかり、女子は76年モントリオール大会しか出場していない。最高成績も男子が9位、女子は76年の5位。もっとも、参加は6チームでブービーだった。

残念だったのは、80年モスクワ大会。出場を決めていたのは男子の球技はハンドボールだけ。78年世界選手権で欧州勢と好勝負を演じ「世界のガモ」と呼ばれたエース蒲生晴明を中心に周囲の期待も高かった。しかし、JOCの不参加で幻に。出場していたら、その後のハンドボールの歴史は変わったかもしれない。

東京大会には男女とも開催国枠で出場が決まっている。男子は8大会ぶり、女子は実に11大会ぶりの大舞台になる。男子はアイスランド出身のシグルドソン監督、女子はデンマーク出身のキルケリー監督という世界的な名将のもと、ともに「メダル獲得」を目指している。欧州勢の力が圧倒的に強く簡単な目標ではないが、その差はわずかにまで詰まっている。「地元の声援が、後押しになる」と男子代表の土井主将。東京五輪での活躍が、ハンドボール界の未来につながる。