北京五輪(オリンピック)の個人、団体で銅メダルを獲得し、世界選手権初優勝を飾った宇野昌磨(24=トヨタ自動車)が、親交の深い先輩のプロスケーターデビューで共演した。

7月から始まる来季のショートプログラム(SP)で使用予定としているジョン・メイヤーの「グラビティ」を初披露。ステファン・ランビエル・コーチとスイスで仕上げたばかりだが、ボーカル入りの演目を全身を使って表現し「曲調の強いところ、弱いところが音楽として明確に分かれている。そういった部分を表現したい」と意気込んだ。

この日は18年平昌五輪など、多くの大会で競演してきた田中刑事さん(27)がプロスケーターデビューを果たした。宇野にとってはシニア転向前から遠征先などで同部屋が続き、公私で好影響を受けてきた存在だ。今季限りで現役引退を決めた田中について問われると、飾ることなく、素直な思いを言葉にした。

「特に変わった心境はないです。これからも一緒に会うこともあると思いますし、アイスショーでも顔を合わせると思う。特に『寂しい』というのも(ない)。『競技者として刑事くんと会っていた』というより、友達として、歳は先輩ですけれど、同じ目線でしゃべってくださる。これからも『友達』なのか『先輩、後輩』なのか、その間の関係だとは思うんですけれど、仲良くしていくと思うので、これからも、これまでも変わらないと思います」

その言葉には、現役選手、プロスケーターの立場に関係のない、濃い信頼関係がにじんだ。【松本航】

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