21年東京オリンピック(五輪)団体銀メダルの谷川航(25=セントラルスポーツ)、19年世界選手権代表で弟の谷川翔(23=セントラルスポーツ)が、兄弟での代表入りが決まった。今大会で男女各5人の世界選手権(10月開幕=英リバプール)代表が出そろった。

兄弟での代表が決まり、兄の航は「おめでとうと言うのを忘れとったわ」と、弟翔に駆け寄った。そして「よっしゃーのハグで、お互い泣いてました」(航)。2人で一緒に戦った19年の世界選手権以来の同時代表入りに、思わず感情が高ぶった。

19年の世界戦以降、東京五輪代表を逃すなど低迷していた翔の復活がカギだった。前日の予選が終わり、貢献度で航はほぼ代表を手中にしていた。気になるのは弟のこと。「翔の演技を見るのが緊張していた」(航)。

特にあん馬は翔が最も点数を稼げる種目で、できれば貢献度を上積みしたい。小さなミスはあったが、最後まで大過失なく通した。演技後、「あん馬が、見ていて1番緊張したわーと言われた」と、翔は兄からの言葉に苦笑いだ。

最後の1枠をかけ、杉野正尭(徳洲会)との一騎打ちとなった。5種目目の平行棒で翔は演技を終え、杉野が最も得意の最終種目、鉄棒の演技を待った。「自分ができることはやった。無心で待っていた」(翔)。

鉄棒で14点台後半を出せば杉野が代表に入るという情報も流れた。前日の予選で15・033点をマークし、首位通過した杉野には可能な点数と思われた。しかし降り技でD難度がC難度になる思わぬミスが生まれ、13・800点。この瞬間、翔の代表入りが決まった。

東京五輪代表を決める21年の全日本種目別。代表入りを逃した翔は、目を真っ赤にして泣いていた。代表入りした航が駆け寄ると、弟の「また頑張るから」という声を聞いた。「悔しい思いが響いていた」と航は振り返る。

兄弟の絆は再びパリという五輪の舞台に向け、つむぎ始めた。【吉松忠弘】

那須川天心-武尊が運命の一戦!勝つのははたして…/THE MATCH速報>>