女子テニスで、4大大会4度の優勝を誇る大坂なおみ(24=フリー)が、19年から指導を受けるウィム・フィセッテ(42)コーチとの契約を解消した。フィセッテ氏が21日、自身のインスタグラムに「ありがとう、なおみ。次の(人生の)章を楽しみにしている」と投稿した。

フィセッテ氏は、クライシュテルス(ベルギー)、リシキ(ドイツ)、ハレプ(ルーマニア)、ケルバー(ドイツ)らを4大大会決勝に導いた女子テニス界の名指導者。大坂とは、19年の年末からタッグを組み、20年全米、21年全豪優勝に導いた。フィセッテ氏は「彼女がチャンピオンに成長するのを見るのは特別なものだった」との言葉を記した。

フィセッテ氏は、過去の対戦や試合結果から統計を導き、戦術にいかす先駆者だった。長い経験と、組み立てられた緻密な戦術で、大坂の課題も的確に見抜き、それまで一発勝負に近かったプレーに安定性を加えた。試合前の練習では、大坂に説明し、メモを手渡すのが恒例行事となっていた。

大坂は、父レオナルド・フランソワさんの指導を受けながら成長。16年に、日本テニス協会のナショナルコーチとなったデビッド・テーラー(オーストラリア)の指導を受けたのが、本格的なツアーコーチを雇った始まりだった。

17年年末には、元女王、S・ウィリアムズ(米国)の練習相手を務めていたサーシャ・バイン(ドイツ)をコーチに招き、18年全米で日本選手初の4大大会シングルス優勝の快挙。続く19年全豪も制した。しかし、すでに関係は悪化しており、同年全豪直後の2月に電撃的に契約を解消した。

その後、全米テニス協会の女子コーチに任命されていたジャーメーン・ジェンキンス(米国)をコーチに迎えたが、この関係も19年末に解消。大物コーチとして、フィセッテ氏を迎えていた。

今回のコーチ契約解消は、フィセッテ氏からの発信だけで、まだ大坂自身からのアナウンスは一切ない。

大坂は、5月の全仏1回戦で左アキレス腱(けん)を痛めて敗退。6月のウィンブルドンを欠場し、まだ復帰していない。18日に、米サンノゼで行われる全米前哨戦のツアー大会より、大坂が主催者推薦枠で出場をすることが発表されている。大坂の最新世界ランキングは38位。全米(ニューヨーク)は8月29日に開幕する。【吉松忠弘】