全日本柔道連盟(全柔連)は14日、オンラインで理事会を開き、来年7月26日に開幕するパリ五輪の代表選手を、最速で今年6月にも早期内定できる新選考基準を定めた。

五輪代表を決める強化システムの改正案が諮られ、承認。「監督と強化コーチが他選手よりも明らかに優位になったと判断した選手がおり、強化委員会において承認された場合は、当該選手を次年度のオリンピック競技大会の代表内定選手とする」と明記された。

これにより、今年5月の世界選手権(ドーハ)終了後、早ければ翌6月にも代表内定選手が誕生する可能性が出てきた。例年は秋に行われる世界選手権が前倒しされたことで、内定時期も早めることが可能と判断された模様だ。

東京五輪では、前年の12月か当年の2月に早期内定が出るシステムが整備された。男子5個、女子4個の金メダルを獲得する大きな成果が出たため、強化委員会の中では、パリ五輪でも早期内定システムを踏襲する議論が進められてきた。

理事会後、報道対応した高山健事務局長は「代表を競合する選手間で明らかな差があると総合的に勘案され、その差を埋めることが困難な場合、強化委員会で審議して早期内定できる。代表選手の、けが防止とメンタルケアの2つが改正の理由。選手にとっては早めに決めてあげることがベター」と代弁した。

東京五輪の1年延期もあり、早くも来夏に迫るパリ五輪。開幕まで、この日でちょうど500日となっていた。

まだ代表内定者はいないが、世界選手権で4連覇を目指す女子52キロ級の前回オリンピック金メダリスト阿部詩ら、本年度無敗と飛び抜けている存在が6月に内定を受ければ-。開幕の約13カ月前に、日本の「パリ内定1号」アスリートが柔道から出るかもしれない。

世界選手権の後はワールドマスターズ(8月4~6日、ブダペスト)や杭州アジア大会(9~10月、中国)が控える。高山氏は「よほど判断を迷うケースがなければ年内に決まる」との見解を示し、最終的には男女7階級の内定14選手がグランドスラム(GS)東京大会(12月2、3日に東京体育館)までに出そろう見通しとなった。【木下淳】