競泳の北島康介杯が24日、東京アクアティクスセンターで開幕する。11回目の大会では50メートル種目で「スキンレース」を行う。予選、準決勝、決勝と短いスパンでレースを繰り返す独特な競技でエンターテインメント性を重視して、競泳の新たな魅力を発信する。五輪2大会連続2冠で、大会を主催する東京都水泳協会会長の北島康介氏(42)にその狙いを聞いた。【取材・構成=益田一弘、田口潤】
競泳界のレジェンドが、新しいチャレンジを打ち出した。北島氏が自らの名前を冠した大会で「スキンレース」を採用した。
北島氏 新しい試みをやろうというアイデアの中で、エンターテインメント性を持たせることが大事。競泳は面白いなと思ってもらうきっかけになればいい。
スキンレースは、19年から3年間、開催された短水路の国際競泳リーグ(ISL)で目玉イベントだった。予選8人→準決勝4人→決勝2人と勝ち抜き方式でレースを重ねる独自スタイル。レース間のインターバルは3分で、スピードとともに回復力、タフネスも求められる。みるみる選手が絞られていく過程が観客を熱狂させた。長水路の北島杯はISLと同じ3ステージ制(10人→4人→2人)で休憩は4分。自由形、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎの50メートル種目で行われる。海外選手や日本代表クラスが参加する大規模大会で、スキンレースが行われるのは、国内で初めてといえる。
北島氏自身も、現役時代に欧州で似た形式のレースを経験。ISLではチームを率いる立場としてスキンレースを体験した。
北島氏 ゲーム性で新たな魅力を発信したい。見ている人も出ている人も楽しい。やっぱり選手たちが楽しめる環境づくりも大切。
日本は、伝統的に50メートル種目を苦手としている。スキンレースは相手の状態や戦略を観察することが勝利への近道。新レースの導入で、日本の苦手な分野の強化にひと役買いたい、という思いもある。
北島氏 既存の大会では難しいが、この北島杯では、いろいろトライできる。
昨夏のパリ五輪で、日本勢は男子400メートル個人メドレー松下知之の銀メダル1個に終わった。
北島氏 ビッグスターがいるわけではない中で水泳の魅力は何なのか。今、改めて考える時期かなと思う。強い選手を育てるだけじゃなく、社会に対して、どんな還元ができるのか。
11回目となった北島杯に「こんなに続くと思わなかった」と苦笑いするが「まだやりたいことの半分もできていない。もっといろんなことができる」。次の一手にも注目が集まる。
◆北島康介杯 北島氏が現役だった15年1月、東京都選手権(東京都水泳協会主催)に「KOSUKE KITAJIMA CUP」の冠をつけて第1回を開催した。過去には日本で初めて選手に対する賞金を設定。さらにスポンサー企業が参加できるエキシビションのリレーを行うなど、新機軸を打ち出している。今大会が第11回となった。
◆北島康介(きたじま・こうすけ)1982年(昭57)9月22日、東京都荒川区生まれ。5歳で競技を始め、中2から平井伯昌コーチに師事。東京・本郷高-日体大。平泳ぎで00年シドニーから4大会連続出場。03年に日本水泳界初のプロに。04年アテネ、08年北京で100メートル、200メートルと2大会連続2冠。五輪は金4、銀1、銅2。16年4月に現役引退。20年6月に東京都水泳協会会長に就任。23年に国際水泳殿堂入り。


