<中日3-2阪神>◇3日◇ナゴヤドーム
自らの誕生日は勝利で飾れなかった。それでもアニキは、全力プレーでチームを鼓舞してみせた。この日、阪神では真弓監督以来となる42歳での現役選手となった阪神金本知憲外野手が、自慢のバットではなく、体を張った守備でファンを魅了した。
1点を先制された2回。2死走者なしの場面で、中日8番岩崎達の放った遊撃手後方への小飛球に“本能”で動いた。万全にはほど遠い右肩を懸命に振り、落下地点へ猛然とダッシュ。間に合わないと判断するや、今度は左腕を伸ばすように体を投げ出し、必死の形相でダイビングキャッチを決めた。
「カネ(金本)は試合になるとアドレナリンが出るからね」。山脇守備走塁コーチも42歳になったばかりの金本のプレーに舌を巻くが、ベンチへ引き上げてきたアニキは右手ではなく、左手にはめたグラブで出迎えたナインとハイタッチを交わすのがやっと。それほど極限状態の中で、全力プレーを続けている。
昨年のこの日は、自らのバットで祝砲を打ち上げ、チームを勝利へと導いた。「41歳ですか。もう歳です」と自身3本目のバースデーアーチを冗談交じりに振り返っていたが、4月8日広島戦(甲子園)、同10日巨人戦(東京ドーム)と史上初となる月間2度の3打席連続本塁打を記録。衰えどころか、さらにすごみを増した「鉄人」の印象を虎党ならず、全国の野球ファンに植え付けていった。
そして迎えたプロ19年目の今季。金本は「今年は手術も受けず、シーズンへ向けた準備もしっかりできた。言い訳はできない」とあらゆる“覚悟”を決め込んでグラウンドに立っている。オープン戦期間中に痛めた右肩は、今も痛みが和らぐことがない。打球を処理した際には右肩に痛みが走るのか、左手でほぐす姿も見られる。その影響もあるのだろう。バットでは2試合連続無安打と元気がないが、不屈の精神力を持つ男は当たり前のように今日もチームをけん引する。【石田泰隆】
[2010年4月4日11時42分
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